[1]経営事項審査の改正について(H20.4.1〜)
現在、建設投資の急激な減少等、建設産業を取り巻く環境が大きく変化している中で、技術力・施工力・経営力に優れたまじめな企業が生き残り、成長できる環境整備が求められており、国土交通省においても環境整備に向けた取組を行っているところです。
そのような中で、経営事項審査においても、企業努力を適切に評価し公正かつ実態に即した評価となるよう、今般、評価項目及び基準等の見直しを行い、平成20年4月1日から実施されることとなりました。
これにより、平成20年4月1日以降については、各評点テーブルが見直されるほか、基幹技能者を加点対象として新たに追加、法令遵守の状況に関する審査項目を追加する等の改正がなされます。
また、再審査を受けようとする日の1年7ヵ月前の日以降を審査基準日とする結果通知については、再審査の申し立てをすることが出来ます。
なお、再審査の申立期間は、改正の日から120日以内となっています。
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1.改正のポイント |
[1]総合評定値(P)の算出式の見直しについて
現行制度では、完成工事高(X1)の評価結果が、経営事項審査の結果全体に大きな比重を占めております。この完成工事高評価の偏重は、企業の合理的な経営戦略を歪める一因と考えられており、また、市場において企業評価が利益を重視している実情とも乖離している状況にあります。
今後、建設投資の減少等建設業を取り巻く環境が大きく変わる中で、完成工事高だけでなく、利益、自己資本をバランスよく加味した評価となるよう、以下のように改正を行っております。
現行:P=0.35X1+0.1X2+0.2Y+0.2Z+0.15W

改正後:P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W
[2] 完成工事高(X1)及び自己資本額等(X2)の審査項目及び評点テーブル等の見直し
今後、建設市場の量的拡大が望めないなど、建設業を取り巻く環境が大きく変わる中で、企業評価においても、量的側面だけでなく質的な側面を重視する観点から、X1及びX2について以下のように改正を行っております。
@X1の改正点
- 評点の上限を2000億円から1000億円に引き下げ
- 上記改正に伴い評点分布を圧縮したため、評点テーブルを修正(評点テーブルはこちら。 [PDF:33KB])
AX2の改正点
- 現行の自己資本を完成工事高で除した値、職員数を完成工事高で除した値での評価を廃止して、自己資本額及び利益額を評点化して評価
- 利益額には、営業利益+減価償却実施額(=利払前税引前償却前利益)を採用
- 総合評定値の算出に当たっては、平均利益額及び自己資本額の点数を各評点テーブルから算出し、それぞれを合算して2で除した数値を評点として算出(評点テーブルはこちら [PDF:55KB])
[3]経営状況分析(Y)における評価指標の見直し
現行のYついては、評点分布が企業実態と乖離している、固定資産が少ない企業が高い点数を得ている傾向がある等の指摘がなされていることを踏まえ、負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性及び絶対的力量を評価できる以下の8つの指標による新たな評価体系とすることとしました。
指標 |
計算式 |
負債
抵抗力 |
純支払利息比率 |
(支払利息-受取利息配当金)/売上高×100 |
負債回転期間 |
(流動負債+固定負債)/(売上高÷12) |
収益性
効率性 |
総資本売上総利益率 |
売上総利益/総資本(2期平均)×100 |
売上高経常利益率 |
経常利益/売上高×100 |
財務
健全性 |
自己資本対固定資産比率 |
自己資本/固定資産×100 |
自己資本比率 |
自己資本/総資産×100 |
絶対的
力量 |
営業キャッシュフロー(絶対額) |
営業キャッシュフロー/1億(2期平均) |
利益剰余金(絶対額) |
利益剰余金/1億 |
※斜体字の指標が今回新たに採用されたもの
また、最近の企業評価においては連結評価が主流となっていること、子会社との間の経理操作等を排除した的確な評価を行う必要があることから、連結財務諸表の作成を義務付けられた会社(会社法の大会社かつ有価証券報告書提出会社)については、連結財務諸表により経営状況の審査をすることとなりました。
[4]基幹技能者への加点など的確な技術力(Z)評価への見直し
現行制度のような単なる技術職員の人数評価だけでなく、技術職員の能力・資格・継続的学習への取組等を反映したきめ細かな評価を、また元請負人として求められるマネジメント能力の評価を的確に行う観点から、以下の見直しを行っております。
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監理技術者講習受講者及び建設業法施行規則に位置付けられた登録基幹技能者講習を終了した基幹技能者を加点評価
(※基幹技能者の有資格区分コードは「064」になります。) |
A |
技術者資格等の評点を見直し |
B |
技術職員1人当たり2業種までに制限 |
C |
2期平均の技術職員の数の審査を廃止 |
D |
新たに元請完成工事高を評価内容に追加し、評点化 |
E |
Z評点の算出については、技術職員の評点と元請完成工事高の評点を4:1の割合で合算して算出
(各技術者の評点及び各評点テーブルはこちら。 [PDF:57KB]) |
[5]社会的責任の果たし方によって差のつく社会性等(W)評価
各企業におけるコンプライアンスの取組等を適切に評価するため、以下の点について評価項目の改廃を行い、各評価項目の加点幅及び減点幅の拡大を行い、W評点の上限引き上げを行っています。(各評点テーブルはこちら。 [PDF:51KB])
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業務災害による死亡者及び負傷者の数並びに賃金不払の件数の評価項目を廃止 |
A |
退職一時金制度の導入の有無と企業年金制度導入の有無の2評価項目を統合 |
B |
法令順守の状況として、建設業法による営業停止又は指示を受けたことがあるか否かを評価項目に追加 |
C |
監査の受審状況として、会計監査人若しくは会計参与の設置の有無又は経理の実務責任者による経理処理の適正を確認した旨の書類に自ら署名を付した書類の提出の有無を評価項目に追加 |
D |
研究開発費の額を評価項目に追加
※加点対象は会計監査人設置会社において、会計監査人が当該会社の財務諸表に対して、無限定適正意見又は限定付適正意見を表明している場合に限ります。 |
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2.申請書の様式改正について |
上記改正に伴い、申請書様式が改正されております。(新様式については こちら。 [PDF:139KB])
なお、 平成20年2月21日以降は新制度での受付となりますので、左記期日以降は 新様式での申請をお願いいたします。
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3.確認資料について |
今回の改正により新たに評価項目が設けられたことに伴って、申請の際に必要となる確認資料が変更・追加されております。
新たに設けられた評価項目に係る確認資料は以下になります。
※新制度における確認資料一覧は こちら。 [PDF:20KB]
[1]営業利益の確認資料
・建設業法施行規則別記様式十六号の損益計算書
[2]原価償却実施額の確認資料
・法人税法申告書別表十六(一)及び(二)並びにその他減価償却費として計上した金額を証明する書類の写し
[3]元請完成工事高の確認資料
・建設業法施行規則別記様式第二号の工事経歴書
(※工事経歴書の様式が改正されております。新様式はこちら。 [PDF:27KB])
[4]監査の受審状況の確認資料
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会計監査人の設置 |
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・ |
有価証券報告書若しくは監査証明書の写し |
A |
会計参与の設置 |
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・ |
会計参与報告書の写し |
B |
経理処理の適正を確認した旨の書類の提出 |
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・ |
建設業の経理実務の責任者のうち公認会計士、会計士補、税理士及びこれらとなる資格を有する者並びに1級建設業経理事務士が経理処理の適正を確認した旨の書類に自らの署名を付したもの |
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(※1 会計監査人の設置に関しては、無限定適正意見又は限定付適正意見が付されている場合に限ります。) |
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(※2 Bの署名の様式はこちら。 [PDF:29KB]) |
[5]研究開発費の確認資料
・建設業法施行規則別記様式第十七号の二による注記表の写し
(注記表の様式が改正されております。新様式はこちら。 [PDF:51KB])
[6]確認資料提出にあたっての留意事項
確認資料の提出にあたっては、以下の点に留意して下さい。
※ |
下記留意事項は、中国地方整備局における運用です。審査行政庁により運用が異なりますので、申請される場合は申請先の各審査行政庁に確認をお願いします。 |
※ |
下記留意事項の@〜Bについては、平成19年度、平成20年度に申請される際に提出をお願いします。 |
@ |
損益計算書及び減価償却実施額の確認資料については、審査対象事業年度及び前期審査対象事業年度の2カ年分を提出して下さい。 |
A |
平成20年3月31日以前の事業年度に計上した元請完成工事高については、工事経歴書の新様式が適用される以前のため、工事経歴書では確認できないことから、建設業法施行規則別記様式第三号の直前3年の各事業年度における工事施工金額表を提出して下さい。
その際に、土木一式工事の内訳であるプレストレストコンクリート(PC)工事、とび・土工・コンクリート工事の内訳である法面処理工事及び鋼構造物工事の内訳である鋼橋上部工事の各請負代金の額は、最後に記載されている工事種類の後に続けて記載して下さい。(具体的な記載方法はこちら [PDF:54KB]を参照願います。)
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B |
平成20年3月31日以前の事業年度に計上した研究開発費については、注記表の新様式が適用される以前のため、注記表では確認できないことから、有価証券報告書など研究開発費が確認できる資料を提出して下さい。 |
C |
監理技術者講習受講者として加点されるには、 |
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@) |
建設業法第15条第2号イに該当(1級国家資格者相当)していること |
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A) |
監理理術者資格者証の交付を受けていること |
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B) |
建設業法第26条の4から6の規定による講習(監理技術者講習)を当期事業年度開始日の直前5年以内に受講していること |
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の全ての要件を満たす必要があります。
申請にあたっては、それらが確認出来る資料(具体的には、資格を証明する書面等、監理技術者資格者証及び監理技術者講習修了証の写し)を提出して下さい。
(再審査申請の場合は、監理技術者資格者証及び監理技術者講習修了証の写しのみで結構です。)
なお、平成16年2月29日以前に交付された資格者証については、当該資格者証のみをもってA)及びB)の要件を満たしているものとみなします。(ただし、資格者証の交付日がB)に記載の5年要件に該当している場合に限ります。) |
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4.改正に伴う再審査について |
[1]再審査の申し立て期間
建設業法施行規則第20条第2項の規定により、当該改正の日から120日以内に限り受け付けを行います。具体的には、 平成20年4月1日(火)から平成20年7月29日(火)までとなりますので、ご注意下さい。
なお、今回の改正に係る 再審査手数料については、 無料として取り扱います。
[2]再審査の対象
再審査の対象となる経営事項審査の結果は、再審査を受けようとする日の1年7ヵ月前の日以降を審査基準日とするものに限ります。
[3]再審査に必要な書類
再審査を申し立てる場合は、以下の書類をご用意の上、窓口に提出して下さい。
@ |
経営事項審査申請書(建設業法施行規則別記様式第25号の11) |
A |
再審査対象となる経営事項審査結果通知書の写し |
B |
Aを申請した際の経営事項審査申請書の写し |
C |
新制度の基準で受審した経営状況分析結果報告書(建設業法施行規則別記様式25号の8) |
D |
今回の改正によって設けられた評価項目に係る確認資料 |
※申請書は通常の経営事項審査申請時と同様に全ての項目を記載して下さい。
[4]申請場所
大臣許可業者に係る再審査の申し立ては、通常の経営事項審査の申請時と同様に、主たる営業所の所在地を管轄する県の経営事項審査申請受付窓口にて行って下さい。
[5]再審査に係る結果通知書の交付時期
再審査の申し立てに伴う新基準の結果通知書については、平成20年4月中旬以降、順次発送を行います。
[6]再審査を受けた場合の旧結果通知書について
再審査による経営事項審査結果通知書を受けた場合についても、旧結果通知書については、発注者が当面競争参加資格の確認等にあたって活用することも想定されますので、回収は行いません。
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5.申請書記載の留意事項 |
再審査における経営事項審査申請書の記載については、以下の点にご留意下さい。
イ |
「申請者」の欄には、主たる営業所の所在地等を記載する等、通常の経営事項審査の申請書の記載方法と同様にして下さい。 |
ロ |
項番「02」(申請時の許可番号)及び「04」(審査基準日)については、前回の申請時と同じにして下さい。 |
ハ |
項番「05」(申請等の区分)については、コード「4」(経営規模等評価の再審査の申立及び総合評定値の請求)又は「5」(経営規模等評価の再審査)を記入して下さい。 |
ニ |
「審査結果の通知番号」の欄には、前回の結果通知書の「行政庁記入欄」に記載されている番号を記載して下さい。 |
ホ |
「審査結果の通知の年月日」の欄には、前回の結果通知書の「行政庁記入欄」に記載された番号を記載して下さい。 |
へ |
「再審査を求める事項」の欄に「平成20年4月1日施工の改正に係る事項」と記載し、「再審査を求める理由」の欄に「制度改正のため」と記載して下さい。 |
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6.問い合わせ先 |
今回の改正についてご不明な点等ございましたら、中国地方整備局 建政部 計画・建設産業課の建設業係(TEL 082-221-9231:内線6145〜7)までお問い合わせ下さい。
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