【1】〜島根から〜■■■

黄砂が大変です。
大陸の高気圧によってもたらされる大雪からやっと開放されたと思うまもなく、今度は偏西風に乗って黄砂の到来、先日草むらの中を歩いたら膝から下が埃まみれになりました。
こんな空気を吸い込んでいると思うと、ついつい煙草離れができない自分を棚に上げて海の向こうに文句のひとつもつけたくなります。
自然現象だけでなく、「竹島」問題から医療廃棄物などの漂着物問題などさまざまな分野にわたって、経済や民間交流などもちろん多くの恵みも受けながら、山陰は常に大陸や半島とのかかわりの中に存在しています。
東アジアとの関係がますます重要性を増す中、国としてもこうした地域の存在を常に頭に入れておいて欲しいものです。

さて今、島根県では「地域経済構造分析」なるものに取り組んでおります。
地域におけるモノやサービス、カネの流れを調べ、どんな産業がどれだけ所得を稼ぎ、その所得が地域内でどれだけ消費や再投資にまわされているか。そうしたマネーフローを通じて地域経済の実態を分析すると共に、今後とも公共事業、公務員の総人件費、年金などの公的支出が削減されると仮定した上で地域経済に与える影響を分析、予測するものです。

県内を7圏域に分け、H.17年度は皮切りとして「浜田」「隠岐」の2圏域を対象に実施し、先ほどその結果が取りまとめられました。
報告書によると、両圏域とも総所得の内、公的支出の占める割合が高く、隠岐」にいたっては全国平均の37%を大幅に上回る63%を占めることから、近年の公共事業の減少による経済的な落ち込みが激しく、このまま推移すると近い将来深刻な経済危機を迎えることが予測される。これを避けるためには製造業、水産業、観光など圏域外に商品を販売して所得を稼ぐ移出型産業を育成し、その所得を圏域内の再投資に回すことが急務であるとしています。

国レベルでは公的部門の縮小が逆に民間のビジネスチャンスの拡大や非効率部分の削ぎ落としにつながるなどプラス面を強調する向きもありますが、多くの地域ではその努力の限界を超え、所得の地域間格差の拡大とそれに伴う人口移動が頭に浮かんできます。

国では、国土形成計画策定に向けて作業が進められています。
今のところ関心はブロック割りに向いているようですが、地域格差問題と健全な地域間競争を誘導する政策についても、全国計画にしっかり位置づけ、それを踏まえた広域地方計画にならなければと思っています。
新幹線も高速道路もないところに、地域の特色を生かして頑張れといわれても…

以上、まち、すまいづくりメルマガのテーマに外れた話題だったかとも思いますが、「何でもいいから」という言葉に甘えて

【島根県土木部長 伊東慶幸】
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