【5】鳥取市の景観の取組み■■■

本市は、日本海を臨む海岸線や緑豊かな山々など、恵まれた自然景観に囲まれています。「白兎海岸」「浜村海岸」など、白砂青松の砂浜海岸は約34kmに及び、「久松山」「因幡三山」などの山々は、全面積の71.4%を占めます。また、母なる河川「千代川」、日本最大の「湖山池」など水辺空間も魅力です。そして「鳥取砂丘」。日本一の大砂丘は、四季折々の様々な表情で私たちを楽しませてくれます。
これらの自然景観に囲まれた「まち」の中にも魅力は存在します。
「鳥取城」「鹿野城」の旧城下町の街並みは、歴史的たたずまいを今も残しています。また、「仁風閣」をはじめとする文化的建造物など、多くの歴史的・文化的資源に出会えます。

ただ残念なことに、これらの恵まれた市民共有の財産も、現在その魅力が低下し続けています。大火や地震などの被害によるものもありますが、市街地の郊外化の進行、生活スタイルの変化といった事も大きく影響していると言えます。
これからの人口減少時代に突入するにあたり、これまでの効率性・利便性を優先したまちづくりを見直さなければなりません。美しさ、楽しさ、潤い、感動、安心・安全を主眼としたまちづくりへの転換が必要になってきます。この地に暮らす者にとって、また、訪れる人にとっても、魅力的なまちを築いていきたいものです。
そのためには、行政だけでなく市民や事業者がそれぞれの責務を負うことが重要です。現在ある豊かな自然や歴史的・文化的景観を守り、また新たな景観を育成する。それにより、暮らしに愛着と誇りが醸成され、固有の魅力が高まるはずです。

本市では、平成12年に景観形成条例を制定し、一定規模を超える建築行為などに対して、良好な景観への誘導に努めてきました。さらに本年、6月1日に景観行政団体となり、その責任を担います。より積極的に「景観」というキーワードで、まちづくりに取り組むことができます。
景観計画の策定にあたっては、その過程から市民や事業者の自発的な取組みを誘発したいと考えています。また、実効性を高める制度を創設する必要もあります。何より、市民の景観に対する意識が高まることが大切です。そうすることで、官民一体の取組みにつながっていくことを期待しています。

【鳥取市都市整備部都市計画課 課長 戸田善泰】
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