【2】国土形成計画と地域の姿■■■

現在、国土形成計画の策定が進められています。この国土形成計画は、従来「全国総合開発計画」と呼ばれていた国土計画が、「開発基調の量的拡大」から「成熟社会型」の計画への転換をめざして、昨年の法律改正により名称変更されたものです。

国土形成計画では、全国計画だけでなく、ブロック毎に地方自治体や地元経済界等が主体的に参加して、新たに「広域地方計画」を策定することにされました。
広島県でも、この計画に向けて検討を開始しているところです。

今回の計画策定で問われていることの一つは、これからの地域の姿をどう描いていくのか、だと考えています。そこでは、中国地方の発展を牽引する中枢拠点機能や都市のあり方と同時に、都市と中山間地域との関係、都市にとって「田舎」は何なのか、も問われています。
極度に厳しい国・地方の財政状況を背景に、人の数や投資の経済効率が財源配分の主たる指標となりつつある中で、人口の少ない地域の将来の姿をどう考えていくのかが大きな課題だと感じています。

もちろん、これからは従来型の箱物や道路などの公共投資に依存する地域づくりの継続は無理であり、持続可能な地域づくりが求められています。

そこでは、地域の歴史と文化や自然を守っていくことが、都市にとってどのような意味があるのかも、併せて考えていかなければならないと思うのです。
中国地域は、古くからの歴史と文化を持つ集落が散在している特色を持っています。そのような集落群が、人口減少により崩壊していくことは仕方の無いことなのか、あるいは、都市と「田舎」の関係の中で何らかの価値を見出して、新たな持続的・共生的な関係を生み出していくことができるのか、そこでの財源はどう考えていくのか。これは、これからの都市の姿の議論にもつながっていくのではないでしょうか。

国土形成計画は、来年度に全国計画が、再来年度に広域地方計画が決定されることになっています。都市と「田舎」の関係に、新たな光が当たることを期待しています。

※ 文中,意見に関わる部分は私見です。

【広島県政策企画部企画調整局 企画監 橋本 康男】
******************************************************************