【1】人口減少時代のまちづくり■■■
       
まちづくりについて、先の9月定例県議会で、何人かの議員がとりあげ、議論が行われた。中心市街地の空洞化と郊外開発の是非、まちづくり三法との関連などについて意見が交わされ、自分としてもいろいろ考えさせられた。

マクロ的に見ると、いよいよ人口減少時代に突入したと言われている。
いざなぎ景気を超える好景気が続いていると言われているけれども、右肩上がりの経済成長を前提にしたまちづくりはもはや期待できなくなってきた。

そもそも、国・地方を通じた財政の危機的状況の中で、公共投資は既に大幅な削減を余儀なくされており、本県の公共事業予算は、ピークの平成10年度の半分以下に減少してきている。人口減少がなくても、社会資本整備の拡大どころか、その維持管理自体が大きな負担になる時代に直面している。それに加えての人口減少とそれに伴う経済の縮小により、特に地方における都市の拡大は極めて厳しい状況になってくるだろう。

こうした背景の中で、中心市街地の活性化や、コンパクトシティづくりがさかんに叫ばれるようになった。都市計画法や中心市街地活性化法などのいわゆるまちづくり三法の改正が行われ、その制度的基盤も整備が進んできた。

しかし、ことはそう簡単ではない、中心市街地が空洞化してきたのにはそれなりの理由があること、既に郊外型の都市構造になってきている地域も多いこと、中心市街地の再開発にも相応のコストがかかること、そもそも我が国の都市は、必ずしも、為政者の明確なグランドデザインに基づき建設されてきたとは言い難い面があり、都市づくりの明確なコンセプトが示されていないため、行政のコントロールが利きにくい面もあるのではないか、という気もしている。

でも、結局は、地域の人たちが、自分たちのまちをどうするのか、まちづくり像を、よく議論して決めるしかない。その際、中心市街地型のまちづくりを目指すにしても、郊外型のまちづくりを目指すにしても、いずれにしても、コストを最小限に抑えた持続可能なまちづくりを目指していかなければならないのは変わらない課題となるだろう。

本県の4つの市だけを見ても、それぞれの歴史も都市構造も文化的土壌も随分異なる。それぞれの地域が、知恵を出し、個性のあるまちづくりをしていくことが求められる。

改正まちづくり三法や建築基準法、景観法などの関連法や制度はそのまちづくりのための一つのツールであり、それをどう使いこなすか、地域の知恵の結集が求められている。

(PS.)私の職名を見て違和感をもたれる方もあろうと思います。本県では、まちづくりや建築、住宅の問題は、暮らしの視点から捉えるべきという考え方から、生活環境部で所管していますので、ご承知おきいただきたいと思います。 

【鳥取県生活環境部長 石田耕太郎】
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