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中国地方まち・すまいづくりメールマガジン
【第19号:平成19年5月11日】

◇◇中国地方整備局建政部◇◇

このメールマガジンは、中国地方における都市・住宅行政に関わる情報で
関係の方々にお知らせしたいものを提供することを目的として、お世話に
なっております地方公共団体の皆様にお送りしております。
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■■目次■■


<寄稿>
【1】「まちづくりの拒否権」
   広島県府中市長 伊藤 吉和

【2】裏通りが元気です、広島
   広島市都市活性化局都心活性化推進課長 向井 隆一

<整備局からのお知らせ>
【3】景観行政団体の動向
   景観法に関する中国地方の現状について(4月末)
     
<地方公共団体からのお知らせ>
【4】暴力団員に対する市営住宅明渡請求について
   広島市都市整備局住宅部住宅管理担当

【5】庄原のまちづくり団体が飲食店などを紹介するフリーペーパー作成
   庄原市商工観光課

【6】島根県大田市からの旬のインフォメーションをお届けします!
   大田市役所観光課

<編集後記>
【7】「はじめまして。よろしくお願いいたします」
   新編集長 中国地方整備局 建政部都市調整官 藤岡啓太郎

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【1】「まちづくりの拒否権」■■■


【広島県府中市長 伊藤 吉和】

まちづくりは簡単には動かない。関係するほとんど全ての人々が賛同
しないと、始めることさえできない場合が多い。まちづくりには全ての人
が拒否権を持っているからだ。

まちづくりと似たような言葉に都市計画がある。立派な法律もある。行政
には都市計画審議会というのがあって、ここで計画を作ったり変更したり
していることは、皆さんご存知だろう。大抵、大学の先生などが会長役で、
学識経験者と言われる人たちがメンバーで、論理的に道路の位置などを
決めている。

都市計画は実現しないからといってチャラにはできない。これまでいろ
いろな規制をかけているから、今更やめられないのだ。だから実現しない
計画が年を追ってたまる。三十年も経つと、都市計画とは実現しなかった
まちづくりの集大成という奇妙なことになる。私はこれを、ナンセンス
都市計画と呼ぶことにしている。

私は、都市計画が無意味だと言いたいのではない。もっと柔軟に作り
直せるようにしないと、本当に画餅集になってしまうと言いたいので
ある。今、過去の計画を変更できるのは、それを上回る計画を上書き
する場合だけだろう。旧計画が難しいのに、それ以上のものをかぶせる
など普通できることではない。だから放置される。そしてたまる。まち
づくりの強力なツールであるはずの都市計画制度が、これでは力を発揮
しようがない。

改めて思うのは、都市計画を作り直すのは政治の仕事だということである。
学者さんたちが仕切る審議会からは、計画を作り直す理屈は出てこない。
論理的に正しい計画をセットしてあるのに、実現しないからといって変更
理由にはならないからだ。これは行政も同じだ。政治の仕事とは何とも
大げさなようだが、要するに関係する人々が、できもしない計画はチャラ
にして、新しい計画を作ってもう一度まちづくりをしようと、やる気を
出すということである。それは合意形成そのものであり、政治はそのため
に存在する。

しかし、地域に新しい計画への気運があっても、逆に審議会や行政が都市
計画の整合性を盾に、それを妨げることが少なくない。特にわが国の審議
会システムなどは、政治を排除することで機能している面があるから、
できないものは変えようという、あまり論理的でない意見に組することが
できない。審議会や行政が反対に回るのだ。

そうすると、まちづくりに大きな拒否権者が加わることになる。それも
推進役であるはずの都市計画審議会と行政が立ちはだかるのだ。これは
実にやっかいなものである。
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【2】裏通りが元気です、広島■■■


【広島市都市活性化局都心活性化推進課長 向井 隆一】

現在、広島市の都心では、これからの都心づくりの目標や将来イメージ、
その実現に向けた具体的な取組を示した「ひろしま都心ビジョン〜みんな
で創る都心の未来〜」に基づき、21世紀の新たな広島のシンボルづくりで
ある「新球場の建設」をはじめ「広島駅周辺地区の再開発の推進」など
様々な事業が進展していますが、今回は、地域住民と行政等が一体と
なって取り組んでいます「裏通りの活性化」について紹介します。

この事業は、広島商工会議所と本市で実施している「都心活性化モデル
事業」の一つで、中四国地方で最も賑わっているショッピング街である
広島市中区「本通り」の南側に並行した2本の市道を対象に、沿道地主や
商店主(計26人)とともに広島商工会議所、本市で「裏通り活性化検討会」
を設置し、地域の活性化に向けた具体的な活動を行っているものです。

昨年実施した調査では、本通りの歩行者が約6万人(12時間)であるのに
対して、裏通りでは最も多い地点で約6千人であり、本通りの約1割程度
でした。2本の裏通りには、小売業(全体の約4割)をはじめ様々な業種の
282店舗が軒を連ねています。明治に創業した歴史のある商店や駐車場の
間を縫うようにブティックや居酒屋、雑貨店など、個性的で遊び心
いっぱいのお店が点在し、時代、世代が混在した通りとなっています。
本通りのすぐそばという魅力的な立地にもかかわらず比較的安価な賃料も
好材料で、若い経営者が出店に意欲的です。

これまで、商店街組織がなく、連携した販促活動もできていませんでした
が、検討会では「将来ビジョンをつくろう」、「歩行者天国にしてはどう
か」、「放置自転車をどうにかせんといけん」、「カラー舗装にしよう」、
「通りの名前をつけてはどうか」、「落書き消しや清掃活動もしよう」
など活発に意見・アイデアを出し合い、裏通りのさらなる魅力アップ、
賑わいづくりに懸命に取り組んでいます。

東京では、原宿の裏通り界隈(通称「ウラハラ」)が、ファッションの
カリスマたちの店舗を中心に賑わっているようです。

「裏通り」の呼び方は、必ずしもうらびれた通りをイメージさせるもの
ではなく、容易には発見できない個性的な、隠れた魅力を持った特別な店
が立ち並ぶ通りの愛称であると考えています。

皆さんも、元気な人たちがまちづくりに取り組んでいる本市の「裏通り」
を一度、探索してみてはいかがでしょうか。

(参考)「ひろしま都心ビジョン」について
 http://www10.city.hiroshima.jp/toshikei/toshika/tvision/index.html
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【3】景観行政団体の動向■■■


【計画・建設産業課課長補佐 窪田】

◎景観法の全面施行から1年余りが経過し、中国地方でも景観計画の策定
 等の取組が進んでいますので、中国地方の現状(4月末時点)について
 報告します。
  ・景観行政団体について
  現在26団体ですが、岩国市が6月に移行の予定。
 ・景観計画策定団体
    現在6団体で策定済(鳥取県・倉吉市・松江市・岡山県早島町・
    尾道市・宇部市)このうち3団体(松江市・尾道市・宇部市)で
    施行済。今年度中に更に10団体で策定予定(鳥取市・出雲市・
    大田市・津和野町・岡山県・岡山市・倉敷市・呉市・三次市・萩市)。

◎景観法の適用により、様々な新しい施策が可能になります。
施策についての解説はこちら 
http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/townscape/index.htm
 ・景観地区について
    中国地方では松江市(塩見縄手地区)と尾道市(尾道市地区)の
    2地区が指定済。(全国で5地区が指定済:旧美観地区を景観地区
    と見なしたものを除く)。
 ・景観整備機構について
    中国地方では、(社)岡山県建築士会が指定済。
 ・景観重要樹木について
  松江市で個人所有の樹木(タブノキ)を指定済(全国で唯一)。

◎「景観の日」関連イベントについて
景観法の全面施行日にちなみ、平成18年より毎年6月1日が「景観の
   日」として制定されています。今年もこの日にちなみ「日本の景観を良
   くする国民運動推進会議」全国大会が次のとおり開催されます。
皆様の参加をお待ちしています。

    日 時 平成19年6月1日(金) 13:00〜17:0(開場 12:00)
    場 所 ニッショーホール(東京都港区虎ノ門2-9-16日本消防会館)
その他 参加無料、要事前申込(以下のウェブサイトでも可能)
http://www.keikankaigi.com

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【4】暴力団員に対する市営住宅明渡請求について■■■


【広島市都市整備局住宅部住宅管理担当】

広島市は、去る4月17日に市営住宅に居住する暴力団員に対して家屋明渡
等請求訴訟を広島地方裁判所に提起しました。
平成16年6月に、広島県、呉市、福山市とともに、市営住宅入居資格に
暴力団員でないことを追加、入居している暴力団員に対しては明渡請求が
できるよう「広島市市営住宅等条例」を改正・施行しましたが、これが
初めての暴力団員に対する明渡請求事案です。
この事案は、当該暴力団員が市営住宅内で暴力事件を起こしたこともあり、
最優先で取り組んできたものです。
暴力団員に関する情報提供や暴力団員との交渉に当たっては、広島県警の
全面的な支援・協力をいただき、やっとここまでこぎつけることが
できました。

提訴した日は、くしくも長崎市長が暴力団員の凶弾に倒れられた日でした。
また、その衝撃も覚めやらぬ20日には町田市の都営住宅立てこもり事件が
起こるなど、暴力団員による凶悪な事件が立て続けに発生しています。
こうした事件はあってはならないことですが、市民の安全・安心の確保を
最優先課題とする地方自治体が管理する住宅がこうした事件の舞台と
ならないよう、今後とも、残る数件の対象事案についても、県警との密接
な連携を図りながら、毅然とした態度で対応していきます。
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【5】庄原のまちづくり団体が飲食店などを紹介するフリーペーパー作成■■■


【庄原市商工観光課】

庄原市のワークショップ活動から生まれた観光ワークショップ「さくら
プランニング」は、県立広島大学の学生を中心に、庄原市の観光、特に
市街地の活性化や賑わいづくりをテーマに、「できる事からやってみよう!」
と実践することを主眼に活動しているまちづくり団体のひとつです。

今回、庄原の街なかの飲食店や合併した新市内の観光施設の概略を掲載
した「さくら通信〜庄原お食事処・庄原市観光施設の巻〜」(B6版12頁
1万部)を作成し、市内の主要施設等へ配布されました。

あわせて、さくらプランニングのホームページも作成し、前述のお店の
紹介のほか、市内を紹介するなど観光に関係ありそうなブログやHP等も
網羅しています。

今後、ホームページを充実して、庄原のポータルサイトを目指すべく
頑張っておられますので、是非ホームページを訪ねていただければと
思います。

中国新聞記事「さくら通信 庄原お食事処・庄原市観光施設の巻」
 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200704240290.html
さくらプランニングのホームページ
 http://sakuraplanning.web.fc2.com/5/
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【6】島根県大田市からの旬のインフォメーションをお届けします!■■■


【大田市役所観光課】

◆◆石見銀山交通規制"石見銀山方式パーク&ライド"スタート◆◆

日本で14番目の世界遺産登録を目指す『石見銀山遺跡』。
本年夏に世界遺産登録が見込まれており、多くの車と観光客が集中する
ことが予想されます。
そこで、人と自然に優しい石見銀山とするため、"石見銀山方式パーク&
ライド"が4月28日よりスタートしました。
GW中は、昨年を上回る多くの観光客でにぎわいましたが、町の内外とも
昨年までのような交通渋滞が解消され、石見銀山の穏やかな町の情景を楽
しんでいただけました。一方、いろいろな課題もありました。
この"石見銀山方式パーク&ライド"は、そうした課題を解消しながら、こ
れから年間を通じて行っていきます。
石見銀山においでの際は、HP等で情報をご確認のうえ、お出かけ下さい。

石見銀山方式パーク&ライド(大田市観光情報から)
 http://www.iwamigin.jp/ohda/kankou/history/070326.html

◆◆国立公園三瓶山の情報◆◆

三瓶自然館サヒメルで春の企画展として「石見銀山 〜鉱山遺跡と自然〜」
を開催中です。世界遺産登録候補の石見銀山を、三瓶自然館ならではの
切り口で紹介しております。
また宿泊施設として、『四季の宿 さひめ野(しきのやど さひめの)』が
4月25日オープンしました。もちろん、お風呂は三瓶温泉です。
三瓶の大自然に包まれた、ゆったりとした静けさの中で心も体もリフレッ
シュしてみませんか。

島根県立三瓶自然館
 http://nature-sanbe.jp/sahimel/

四季の宿 さひめ野
 http://sahimeno.jp/

◆◆その他観光PR情報◆◆

○『石見の国おおだ観光大使』を任命
平成19年度、大田市の観光振興・地域振興を促進するため、
『石見の国おおだ観光大使』制度を設け、第1号として、演歌歌手の
永井裕子さんを任命しました。
永井さんには、大田市のふるさと演歌『石見路ひとり』も歌っていただい
ております。

おおだ観光大使(大田市観光情報から)
 http://www.iwamigin.jp/ohda/kankou/history/070404.html

○大田市を舞台にしたTVドラマが放映中
仁摩サンドミュージアムなどを舞台にした、芦原妃名子さん原作の
『砂時計』が現在放映中です。
原作にはない設定や、世界遺産登録候補の石見銀山が場面場面で出て
きますので、原作とはまた違った雰囲気を感じてください。
なお、仁摩サンドミュージアムでは、5月13日まで芦原妃名子先生の原画
展を開催しております。原画展最終日には芦原先生のサイン会もござい
ます。この機会にぜひ一度お越し下さい。

仁摩サンドミュージアム
 http://www.sandmuseum.jp/
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【7】「はじめまして。よろしくお願いいたします」■■■


【新編集長 中国地方整備局 建政部都市調整官 藤岡啓太郎】

本年の4月より都市調整官として、都市計画、都市計画事業、広域地方計画
などを担当しております藤岡と申します。
海と山、街と里、人と自然が織りなす美しい中国地方づくりのために微力
ながら体ごとぶつかって行きたいと考えておりますので、よろしくお願い
いたします。
(ちなみに、私はmade in 瀬戸内、「国生み神話」に登場する島の出身です)

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「中国地方まち・すまいづくりメールマガジン」では地方公共団体の皆様
から、他の参考となるような独自の取組事例、随想等の記事を募集して
います。

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<編集担当>
計画・建設産業課
計画調整第一係長 藤井(内線6131)
mailto:kenseibu@cgr.mlit.go.jp
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