第35回中国地方ダム等管理フォローアップ委員会
「第35回中国地方ダム等管理フォローアップ委員会」において、「土師ダム定期報告書」の審議を行った。
○審議は、「防災操作、利水補給、堆砂、水質、生物、水源地域動態」の6項目について、令和元年度から令和5年度までの期間を主な対象として行った。
1「防災操作」 評価期間である令和元年度〜令和5年度の間にダム洪水量(200m3/s)を超えるような洪水が11回発生したが、必要なダム操作により所期の機能を発揮している。今後、気候変動の影響により水害の激甚化・頻発化が懸念される。引き続き適切な防災操作を行うと共に、ダムが持つ治水上の効果を最大限発揮できるよう貯水容量の有効活用に取り組まれたい。
2「利水補給」 所期の機能を発揮し、受益地に大きな貢献をしているが、気候変動の影響により利水補給への影響も懸念される。今後も貯留水を適切に管理・運用し、受益地への利水補給を行われたい。
3「堆砂」 貯水池内の堆砂量は堆砂容量の43%程度を占めているが、管理上の問題は生じていない。適切な方法により測量等を継続して実施し、堆砂の局所性に留意しながら全体の堆砂状況を把握されたい。
4「水質」 アオコの発生といった富栄養化現象が発生し、利水上の影響が及ぶ場合もある。このため、ダムの管理・運用に必要な水質や底質の調査やアオコ発生時の調査を継続されたい。特に、カビ臭生産植物プランクトンの遷移に関わる資料の蓄積に努められたい。 また、現在利水者と共同で実施している水質保全に関する情報連絡会や水質調査等の取り組みを継続されたい。
5「生物」 生物の生息・生育環境に大きな変化は見られていないが、今後も調査を継続し生物の生息・生育状況と周辺環境の把握に努められたい。 環境保全対策の内、ダムの管理・運用と関連の深い特定外来生物については、河川水辺の国勢調査等を活用し影響等の確認と必要な対策を講じられたい。 また、フラッシュ放流による環境保全対策については、今後も灰塚ダムと連携し、継続的に実施すると共に、河川水辺の国勢調査を活用し効果を把握されたい。