平成13年3月6日

　最先端の情報通信技術による新しい道路交通システム「ＩＴＳ」は、中国地方においても、「ＶＩＣＳ」をはじめとして着実な進展を見せ始めています。
　国土交通省では、「ＩＴＳ」を推進していくにあたり、道路交通利用者の皆さんが「身近に利用できる便利なシステム」であることを実感していただくように、施策の展開を図ることとしています。
　現在、呉市交通局のバス路線のうち、「呉広島空港線」「広長浜呉駅線のノンステップバス」の２路線について、『バスロケーションシステム』の試験的なサービスを開始しています。
　 今回、新たに、対象路線に「郷原黒瀬線」を追加するとともに、情報提供手法についても、３路線において「プッシュホン電話」でのバス到着予測時刻情報を音声で応答する「音声応答システム」のサービス提供を追加することとしましたので、お知らせします。
　「音声応答システム」でのサービス提供は、全国で、初めての試みです。

1．背　景

　警察庁、経済産業省、総務省、国土交通省の関係４省庁により、最先端の情報通信技術による新しい道路交通システム「ＩＴＳ」（Intelligent Transport Systems）施策を推進していくこととしています。 　
　「ＩＴＳ」は、最先端の情報通信技術を用いて「人」、「道」、「車」を「情報」によって一体化しようとする新しい道路交通システムで、以下の９つの開発分野から構成されており、道路交通の安全性・運輸効率・快適性の向上、環境の改善、新たな産業の創出など、他地域・経済の活性化を含め、様々な期待が寄せられています。 　
　?@ナビゲーションシステムの高度化 　
　?A自動料金収受システム 　
　?B安全運転の支援 　
　?C交通管理の最適化 　
　?D道路管理の効率化 　
　?E公共交通の支援 　
　?F商用車の支援 　
　?G歩行者等の支援 　
　?H緊急車両の運行支援

　 一方、呉市では、呉市周辺地域を対象とした、「渋滞緩和」「便利」「安全」「環境」「福祉」「広域交流」の６項目からなる総合交通体系を目指すため、「呉都市圏交通円滑化計画」を策定することとしており、平成１２年４月に「ＩＴＳ都市宣言」を行うなど、「ＩＴＳ」施策に積極的に取り組むこととしています。 　

　 特に、他都市と比較して高齢者の割合の高い人口特性、軌道系交通機関の存在しない南北方向の交通特性から、公共交通機関（バス路線）の重要性を考慮し、「ＩＴＳ」を活用したバスサービスの向上が必要であると考えています。

　また、近年高齢化社会が進む中、平成１２年５月に交通バリアフリー法が成立するなど、高齢者や身障者などが積極的に社会活動に参加できるよう、今後、駅などの交通結節点へのエレベーター設置、公共交通機関における低床車両の導入等、バリアフリー化が進められることになっています。

２．検討内容

　国土交通省広島国道工事事務所においては、「ＩＴＳ」を推進していくにあたり、身近な技術を利用して出来るだけ早く皆さんに「ＩＴＳ」を感じていただくように、各種のサービスを導入していくこととしており、ＧＰＳや携帯電話網といった通信技術を活用した「移動体インテリジェントロケーションシステム」により、平成１２年８月１０日に超低床路面電車「グリーンムーバー」、９月２０日に長距離バス(広島松江間)、１１月１日に呉市営バスの一部の路線について、運行状況をインターネット上のパソコンやインターネット対応携帯電話(ｉモード･Ｊ-スカイ･ＥＺweb）でのサービス提供を開始しました。

　 今回、新たに、対象路線に呉市営バス「郷原黒瀬線」を追加するとともに、情報提供手法についても「プッシュホン電話」で音声でのバス到着予測時刻情報をサービス提供する「音声応答システム」を追加することとしました。
　 「音声応答システム」の利用方法については、市役所・支所・バス内で配布されるパンフレットに詳しい利用方法を記載してあります。（別添パンフレット参照）



３．現　状

・郷原黒瀬線
　現在、通勤・通学に密着した路線として、呉市・黒瀬町を運行していますが、バスの運行は、渋滞などの道路状況による影響を受けやすい状況にあります。

４．システム概要 （別紙1参照）

　本システムは、車両にＧＰＳ（全地球測位システム）による位置情報装置と通信装置を搭載し、その情報をリアルタイムに収集するもので、ＧＰＳとパケット通信網を利用したバスの位置情報及び到着予測時刻の提供を行うシステムです。
　 インターネット上のパソコンで画面情報によるバスの位置情報、インターネット対応携帯電話及びインターネット上のパソコンで文字情報によるバス停留所へのバス到着予測時刻のサービス提供が受けられます。
　また、「音声応答システム」を導入することで、プッシュホン電話で音声によるバス停留所へのバス到着予測時刻情報のサービス提供が受けられます。


５．導入メリット

・郷原黒瀬線
　本システムを導入することにより、ステッカー（別紙２参照）の貼付してあるバス停などについては、インターネット対応携帯電話（ｉモード･Ｊ-スカイ･ＥＺweb）に各バス停留所へのバスの到着予測時刻を提供できますので、バス利用者のバス停留所で定刻になっても来ないバスを待ちながら、「もう、バスは行ってしまったのか？」｢目的地に何時に着くのか｣ といった不安な状況がなくなります。
　特に、事故等で大幅にバスの運行ダイヤが乱れる場合、バス利用者にとって到着予測時刻提供によるメリットは、非常に大きいものと考えています。また、パソコンによる提供では、リアルタイムのバスの位置も表示されますので、自分の利用しようとしているバスが今どこを走っているのかを確認することもできます。

・ 音声応答システム
　「音声応答システム」を導入することで、ステッカー（別紙２参照）の貼付してあるバス停などについて、プッシュホン電話（自宅の電話・公衆電話・携帯電話など）でのバスの到着予測時刻のサービス提供が可能となり、バス利用者におけるアクセス可能対象者数が、大幅に増加されます。
　また、インターネット（パソコン・携帯電話）を利用しない方や目の不自由な方も、音声案内に従いバス停留所コードを押すことで、気軽に、バスの到着予測時刻のサービス提供を受けることが可能となります。


６．今後の展開

今後、呉市営バスの他の路線（呉倉橋島線・長の木呉駅循環線のワンステップバス）についても、利便性向上を支援する目的で、順次、提供を図っていく予定です。


７．導入スケジュール等

８．サービス提供のアドレス

		［当資料に関するお問い合わせは］ 国土交通省　中国地方整備局　広島国道工事事務所 TEL (082)281-4131 FAX(082)286-7897 E-mail Address:hirokoku@cg.moc.go.jp