[to TOP]

平成14年3月29日

東広島・呉自動車道(一般国道375号)における
オオタカ調査について

 平成11年6月、東広島呉自動車道の計画路線のうち1工区区間周辺において、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の国内稀少野生動植物種に指定されているオオタカの営巣が1カ所で確認されました。
 そのため、国土交通省広島国道工事事務所は営巣が確認された周辺のトンネル工事の発注を取りやめ、同区間並びにその他の先行着手区間において、オオタカの行動圏、繁殖状況等の生息状況の把握を目的とし、平成11年7月より平成13年8月まで調査を行ってきました。
 これらの調査結果に基づき検討した結果、トンネル工事の着手をはじめとする事業を再開しますが、その進行に当たってはモニタリング調査を実施しつつ、専門家の指導の下に逐次検討を行い、必要な保護方策を図ることなどに配慮しながら事業を進めていくこととします。

東広島・呉自動車道のオオタカ調査について

1.東広島・呉自動車道の整備の状況
 東広島・呉自動車道は、一般国道375号の渋滞緩和や地域の経済・産業・文化等の発展を促すため、地域間の連携、交流を支える循環型の道路ネットワークを形成するための道路です。
 当道路は、山陽自動車道に接続する東広島ジャンクション(仮称)から一般国道185号に接続する阿賀インターチェンジ(仮称)までの32.8kmを結ぶもので、現在、国土交通省広島国道工事事務所において、鋭意事業を進めています。
 このうち東広島ジャンクション(仮称)から国道375号に接続する馬木インターチェンジ(仮称)の間については用地買収および工事を先行的に進めており、また、呉市阿賀地区においても工事に着手しています。

2.猛禽類調査の概要
 平成11年6月、東広島・呉自動車道の建設予定地のうち1工区区間において、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の国内稀少野生動植物種に指定されているオオタカの生息が確認されました。
 そのため、国土交通省広島国道工事事務所は営巣が確認された周辺のトンネル工事の発注を取りやめ、同区間並びにその他の先行着手区間において、オオタカの行動圏、繁殖状況等の生息状況の把握を目的とし、平成11年7月より平成13年8月まで調査を行ってきました。
 この結果、平成11年には幼鳥2羽の巣立ちが確認されました。翌平成12年には1〜2月にかけてディスプレイが観察されたものの、平成12年3月に巣の崩壊が確認され、これ以降に繁殖活動は観察されていません。
 なお、巣の崩壊の原因は特定できませんが、周辺は松枯れが進行し、営巣木も孤立して単木状となっています。
 また、調査に併せて専門家のご意見を聞きながら東広島・呉自動車道の建設に伴う影響および保全対策等について検討を行いました。
 これらの調査結果に基づき検討した結果、トンネル工事の着手をはじめとする事業を再開しますが、その進行に当たってはモニタリング調査を実施しつつ、専門家の指導の下に逐次検討を行い、必要な保護方策を図ることなどに配慮しながら事業を進めることとします。

3.調査結果の概要
 調査は、先行着手区間である1工区および3工区の一部(呉市阿賀地域)について、オオタカの生息状況や生態、また、工事中の繁殖状況等を把握するため、定点観察および現地踏査等を実施しました。
 調査を行った結果、当該地域においては平成11年に確認された営巣地(a)に加えて新たに1カ所(b)でオオタカの営巣が確認され、合計2カ所の営巣地を確認しました。

a 営巣地では計画路線の極めて近傍で営巣木が確認されており、平成11年には幼鳥2羽の巣立ちが確認されました。翌平成12年には1〜2月にかけてディスプレイが観察されましたが、3月に巣の崩落が確認され、これ以降繁殖活動は観察されておりません。

b 営巣地については、平成12年に新たに確認されたものであり、路線との間には遮蔽効果を有する尾根が存在します。ここでは、平成12年に1羽、平成13年に3羽の幼鳥の巣立ちを確認しました。


4.今後の予定について
 今後については、引き続き専門家の指導の下にモニタリング調査を継続し、必要な保護方策を図ることなどに配慮しながら事業を進めていく考えであります。

語句説明
■「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」
この法律は,国内外の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図る体系的な制度を整備したものであり,絶滅のおそれのある種を希少野生動植物種として指定し,捕獲,譲渡し等の規則,生息地等の保護のための規制および保護増殖事業などを総合的に推進するものである。
なお、「絶滅のおそれ」とは,野生動植物の種について,種の存続に支障をきたす程度にその種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつあること,その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあること,その他その種の存続に支障を来す事情があることをいう。

■「希少野生動植物種」

上記の法律を根拠とし、下記の基準によって指定される種のことをいう。

・国内希少野生動植物種:その個体が本邦に生息し又は生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって政令で定めるもの。

・国際希少野生動植物種:国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物の種(国内を除く)であって政令で定めるもの。

・緊急指定種:国内・国際希少野生動植物種以外の野生動植物の種の保存を特に緊急に図る必要があるときに環境大臣がその種を緊急指定種として指定することができる。

■「ディスプレイ」
主に誇示、示威または求愛のために行う行動。テリトリー占有の宣言のための飛翔(ディスプレイフライト)や繁殖期前半に雌が雄を誘導するために鳴く行動等の総称。

■「モニタリング調査」
工事開始から供用後数年間にかけて、繁殖状況の変化を追跡するものであり、この結果から工事の影響および保全対策の効果等の評価を行うものである。


    [当資料に関するお問い合わせは]
国土交通省 中国地方整備局 広島国道工事事務所
TEL (082)281-4131 FAX(082)286-7897
E-mail Address:hirokoku@cgr.mlit.go.jp