利水

斐伊川の水利用の現状

斐伊川水系の水は、農道用水、水道用水、工業用水、発電等に利用されています。

農業用水

許可水利権として、斐伊川では62件、約1,200haの耕地に最大約4.2m3/secの取水があります。神戸川では、14件、約700haの耕地に最大約1.5m3/secの取水があります。その他に、慣行水利として斐伊川で約1,900件、かんがい面積約18,200ha、神戸川で217件、かんがい面積約2,200haの取水があります。

水道用水

松江市、出雲市をはじめとする市町への供給のため、飯(いい)梨(なし)川、忌部(いんべ)川、斐伊川、神戸川等より約4.3m3/secの取水が行われています。

また、尾原ダムでは、島根県東部の将来にわたる安全かつ安定した給水体制を確保するため、島根県企業局により、新たに1日最大38,000m3 の取水が行われています。

工業用水

主に中海沿岸の新産業都市周辺一帯に島根県等に対して供給しています。

また、志津見ダムでは、出雲地域における将来の工業用水の需要に応えるため、島根県企業局により、新たに1 日最大10,000m3 の取水が予定されています。

水力発電

斐伊川では14箇所の水力発電所があり最大41,800kWの発電を行い、島根県事業によるものが三成ダム等4箇所、中国電力株式会社によるものが阿井川ダム等5箇所、奥出雲町仁多(2箇所)、安来市広瀬・安来市伯太・雲南市吉田(各1箇所)が農業協同組合等による小水力発電所です。神戸川では、来島ダム(潮発電所:江の川水系への分水),窪田発電所及び乙立発電所の3箇所において、中国電力株式会社により、最大31,800kWの発電を行っています。

また、志津見ダムでは、島根県企業局によって、志津見発電所が建設され、最大出力1,700kWの水力発電が行われます。

  取水量(m3/sec)
農業用水 5.7
水道用水 4.3
工業用水 0.5
発電 99.7
その他 0.3
合計 110.5

利用の課題

斐伊川本川では、上流からの土砂供給量の減少に伴う河床低下により、一部の取水施設において、地元自治体等が砂堰を設置することで取水が行われています。今後も河床は緩やかに低下するものと想定されることから、取水施設の機能が維持できるよう、施設管理者に対し、河床の状況等のデータを提供する等、情報共有に努める必要があります。

鯰の尾(なまずのお) 水寄せ
渇水期に表流水がない時でも、河床を数10cm程度掘れば相当の水があるため、堤防沿いの河床に延々と水路を掘り、伏流水の流れ込みを受けて水量を増しながら取水する方法。 河川敷に溝を掘ったり、砂を寄せて樋管に水を導き取水を容易にする方法。