第1回 灰塚ダムモニタリング委員会
議事要旨
日時:平成17年1月30日(日)13:00〜15:30
場所:東方2001 4Fくじゃくの間

委員長挨拶
   灰塚ダムでは環境に配慮したモニタリングを実施することになっている。環境への影響評価、モニタリングについては、人間の社会活動、生活はもとより、そこに従来から生息していた生物への影響に配慮することが重要である。
   委員会の構成も河川工学の専門家の他、生物に関する専門家が充実しており、生物に関するモニタリングに力を入れるという姿勢が示されていると思われる。
   本日は、環境影響評価、モニタリング調査計画について忌憚のないご意見をいただきたい。
 
環境影響評価
  ・ 貯水池内の水温分布やDO分布を確認したい。
  ・ 秋期の温水放流対策として、曝気の運用を夜間のみとすることなどが考えられる。
  ・ ダルマガエルは、仮に放流する場合でも、ウェットランドへただ放流するのではなく、上位者に捕食されないよう隔離する必要がある。
  ・ オオサンショウウオの捕獲個体の放流については、事前に影響範囲外での生息調査を行い、生息が確認された場所に放流すべきである。
  ・ ウェットランド整備の目的が、この資料では重要種の保全のように感じるが、地域の特徴的なものがなければ利用は困難である。
  ・ ウェットランドは重要種のみが生息するものでなく、あくまでも優占種は一般種であり、その中に重要種が混ざっている状態を想定している。持続性を持たせるには典型的な種が基盤となる。
  ・ 移植植物の生育環境を維持するためには手入れが必要である。住民参加型等による方法も考えられる。
  ・ 典型性(陸域)の環境類型区分は、本来は植生のみでなく地形・地質をオーバーレイしたものとして類型区分すべきと考えられる。
  ・ この地域はアユが漁業対象となっている。秋期の水温の上昇により、アユの降下が遅れる可能性があるが、漁業者にとっては漁期が延びるというメリットがあるかもしれない。
  ・ 灰塚ダムは、ブラックバスの繁殖に適した環境となることが予測される。
  ・ ブラックバスは一旦入ると排除は困難であるため、最初から入れないという配慮が必要と考えられる。
  ・ 評価の視点として上位種、特定種も重要であるが、種の多様性という面も重要と考えられる。また、ダムの場合は環境を復元するというよりも、新しい環境の創出という視点が必要である。
  ・ 中国横断道尾道松江ルートが当地域に近接して計画されている。また、世羅農業公園でもアセスを実施している。ダム完成後何らかの環境影響が生じた場合、ダム以外の要因がないかどうか確認する必要があるため、これら上下川流域や三次市における計画や調査内容等も把握しておくべきである。
 
モニタリング調査計画
  ・ ウェットランドの昆虫類の調査時期が春、秋となっているが、春は不適である。初夏(5月上旬〜6月)とトンボが発生する8月がよいと考えられる。当地区では、サナエトンボ、カトリヤンマ等が優占種となっている。
  ・ ウェットランドの生物調査は隔年となっているが、ウェットランドを含めダム湖が鳥類の生息場所となることが大きな目標であることから、鳥類だけは毎年調査を実施すべきである。
  ・ 工事に伴う長大法面等の植生回復状況の追跡調査を実施すべきと考える。
  ・ ウェットランドについては、目指す姿を明確にしないと調査結果の評価が困難である。また、委員会として、ウェットランドに関する評価をどこまで行うのか、役割を明確にすべきである。
  ・ 湛水により哺乳類の移動ルートが分断されることによって、例えばイノシシの出現場所が変わったりする可能性がある。これらによる周辺の畑等での獣害増加などについても注視する必要がある。
  ・ 鳥についてはカワウや淡水性のカモが増加すると考えられる。カワウについては鳥害が懸念されるため注視が必要である。
  ・ フラッシュ放流調査については、効果確認のため十分な調査が必要と考えられる。
  ・ 水源地動態調査の一環として、生活再建地の人口推移やイベント回数等についても調査し、動向を評価すべきと考える。

 
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