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モニタリングにより将来の環境変化を見守っていかなければならないが、その立ち上がりとなる今の段階から調査を始めているので、本日は専門家である各委員のご意見をいただき、今後のモニタリングそしてフォローアップへとつなげていきたいと考えている。 |
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委員の皆様には忌憚のないご意見をいただきたい。 |
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○ウェットランドに関するモニタリング評価の取扱い |
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ウェットランドに関するモニタリングについては、江の川総合開発工事事務所長が設置するアドバイザー会議において審議、評価し、その結果をモニタリング委員会へ報告することで了解する。これに伴うモニタリング委員会の規約改正についても了解する。 |
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○オオサンショウウオ調査 |
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上流域の調査で幼生が確認されたことは、現時点でも素晴らしい環境が残っていることを示すものである。 |
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○植物重要種の移植 |
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春植物等、移植した植物については、個体数が増えることを目標にしてほしい。 |
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移植作業に立ち会ったが、時間と手をかけて適切な場所へ移植がなされていると感じた。 |
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移植場所の管理には地域住民の手を借りることとなるため、移植場所の選定にあたっては、草刈りなど管理がしやすい場所という視点も必要である。 |
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地域住民に関心をもってもらい、管理に関わってもらうためには、このような取り組みや植物を知ってもらうことが必要であるが、一方で盗掘も防がなければならないという問題がある。 |
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○オオクチバス対策 |
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本ダム、副堰堤の順に水位を下げて産卵床を干し出す計画となっているが、産卵のタイミングに合わせて水位調節することが成否のポイントとなる。また、人工産卵床を引き上げて駆除することも考えられる。 |
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産卵時期よりもあまり早く人工産卵床を設置すると、泥をかぶってしまうおそれがあるため、まずは調査により実際の産卵場所を特定することに重点を置くのがよい。 |
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樽床ダムでは水温13〜14℃程度で産卵している。産卵時期は貯水池への流入地点付近が早く、順次湖内へ移ってくるようである。また、卵は3〜4日で孵化する。この例からも、まだ知られていない生態もあるかもしれないので、灰塚ダムでどこに産卵するのか調査したうえで対策を行う必要がある。 |
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5〜6月に水位を下げるとのことであるが、この時期はカイツブリやカルガモが水辺に巣をつくる時期であり、好ましくない。 |
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オオクチバス対策としては、 @人工産卵床による方法、 A孵化直後の稚魚をタモ網ですくい取る方法、 B卵を守る親魚を刺し網等で捕獲する方法 の3つが効果的であり、調査結果も踏まえ、これらを併用して実施するのが望ましい。 |
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○コウノトリ(動物重要種) |
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湛水により現在ねぐらとしている橋脚が水没し、採餌環境も減少する。このため、フロート型のねぐらをつくるとか、ウェットランドの谷戸や大谷地区に湿地を確保し、ザリガニやドジョウを放流するなどの対策を検討してほしい。また、周辺の水田に冬季に水を張ることも有効と考えられる。 |
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餌となるドジョウの放流については、安易に外国産のものを放流しないようにするべきである。 |
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採餌環境として期待できるウェットランドの谷戸を早く湿地環境に復元する必要がある。また、営巣木となる松の木を大事にするとともに、密集していれば間伐することなども考えられる。 |
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ダム事業においてコウノトリの保護をどこまで行うのか明確にすべきと考えられる。 |
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○生態系(上位性) |
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クマタカのAつがいが昨年に続き今年も繁殖活動を中断した原因として、老齢個体であることなどが考えられる。この場合、今後個体が入れ替われば、繁殖に成功する可能性もあるので、調査にあたっては個体識別を確実に行うことにも留意してほしい。 |
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○貯水池周辺調査(植生・昆虫調査) |
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昆虫の評価に当たっては、昆虫の種の多様性に着目し、インベントリー調査を目指す必要がある。そのためには、多様度指数による解析、評価を行うことも必要であろう。また、貯水池の出現による昆虫相の変化についても着目すべきと考えられる。 |
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生物調査としては、種の多様性に着目する場合と、特定の重要種に着目する場合と両方がある。 |
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○改変域の植生回復状況調査 |
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緑化施工後10年経過しても被覆が進んでいない法面については、場合によっては対策を行うことも考える必要がある。 |
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学生や生徒・児童に整備後のウェットランドを環境学習等の場として活用してもらうためには、整備途中である今の時点から状況を知ってもらうことが重要である。そのために、三次市や庄原市の教育委員会などへ早く協力依頼すべきである。 |