江の川水系について

江の川河川整備基本方針

江の川水系河川整備基本方針は、河川法に基づき、平成19年10月11日に開催した社会資本整備審議会河川分科会(第30回)の審議を経て平成19年11月22日付けで河川整備基本方針を策定し、同日付けで官報に公表されることとなりましたのでお知らせします。
江の川水系河川整備基本方針は、江の川の将来のあるべき姿やその姿を実現するために取り組むべき河川整備の方針について定めています。
今後は、関係機関や地域住民と共通の認識を持ち、連携を強化しながら、江の川についての20〜30年の具体的・段階的な計画を盛り込んだ河川整備計画を定める予定です。

平成9年に河川法が改正され、豊かでうるおいのある質の高い国民生活や良好な環境を求める国民のニーズに的確に応えるため、制度を見直し、それまでの工事実施基本計画に代え、新たに、河川整備の基本となるべき方針に関する事項『河川整備基本方針』と具体的な河川整備に関する事項『河川整備計画』に区分されました。
河川整備基本方針は、各水系における治水、利水、環境等に関する河川管理の長期的な方針を、総合的に定めるものであり、河川整備の基本となるべき事項等を定めます。
江の川は、広島県山県(やまがた)郡北広島町阿佐(あさ)山(標高1,218m)に水源を発し、小支川を合わせながら北東に流れ、途中三次(みよし)市において馬洗(ばせん)川、西城(さいじょう)川、神野瀬(かんのせ)川を三方より合流し、先行性の渓谷をつくって流れ、島根県の江津(ごうつ)市において日本海に注いでいる。
江の川の流域は中国山地のほぼ中央を貫流し、広島県、島根県と2県にまたがる。上流部三次市は古くから備北地方に張りめぐられた陸上交通の要に位置し、物資の集散地で陰陽交通の中継地として発達し、交通の要衝となっている。また、河口の江津市では、パルプ・窯業(瓦生産)工業等が盛んで、石州(せきしゅう)瓦と呼ばれる赤瓦の家並みは江の川流域の特徴的な景観の一つとなっている。
本水系の治水対策の歴史は古く、下流部では弘法大師の教えにより水害軽減対策として植えたとされる竹林が水害防備林として今も残っている。
江の川は、過去幾多の洪水被害に見舞われてきたが、昭和47年7月に既往最大の洪水が発生し、堤防の決壊を伴った激甚災害により江の川流域に甚大な被害をもたらした。
このような状況を踏まえ、沿川地域を洪水から防御するため、江の川の豊かな自然環境に配慮しながら、堤防の新設及び河道掘削等により河積を増大させる。また、連続堤の整備による治水対策が困難な山間狭窄部については、住民との合意形成を図り、関係機関と連携・調整を図りつつ輪中堤や宅地の嵩上げ等を実施するとともに、流域内に洪水調節施設を整備することにより計画規模の洪水を安全に流下させる。また、洪水等による被害を極力抑えるため、関係機関や地域住民等と連携して、総合的な被害軽減対策を推進する。
流域の人々と江の川の関わりを考慮しつつ、江の川の流れが生み出す良好な河川景観を保全するとともに、多様な動植物の生息・生育・繁殖する豊かな自然環境を次世代に引き継ぐように努める。
江の川の基準地点尾関山においては、基本高水のピーク流量を既定の工事実施基本計画と同様に 10,200m3/sとし、基準地点江津においては、対象洪水の通過流量の上下流バランスを考慮し14,200m3/sを14,500m3/sに見直した。
基準地点尾関山における河道への配分流量を 7,600m3/s、洪水調節施設による調節量を 2,600m3/sとし、基準地点江津における河道への配分流量を 10,700m3/s、洪水調節施設による調節量を3,800m3/sとした。