カジカガエル
 Buergeria buergeri
分 布
日本固有種で、本州・四国・九州の山地に分布する。
分 類 カエル目 アオガエル科
形 態
体長は成体の雄が30〜40 mm、雌が50〜70 mm。幼生は15〜45 mm。
 背面は灰褐色で、個体によっては黄緑色を帯びた褐色のものもいる。吻部(ふんぶ)、左右上眼瞼の間、前肢基部の背側、腰部などには、黒褐色の斑紋をそなえている。体側面は淡黄褐色で、暗色の斑紋が散在している。四肢の背面には黒褐色の横帯がある。腹面は灰白色で、下顎の周縁部には小さい黒点が散布している。頭部、胴部の背面と側面、四肢の上面の皮膚には粒状突起が一帯に分布している。頭部は扁平で長さと幅がほぼ等しく、吻端(ふんたん)は鈍い。鼓膜は円形で直径は眼径の約半分。胴部左右の背側には皮膚の隆起はない。指趾端(ししたん)には大きな吸盤があり、前肢第3・4指のものが最大で、直径が鼓膜の直径にほぼ等しい。前肢は比較的短く、その全長が体長の2/3に達しない。水かきはほとんど認められない。後肢はよく発達し、大腿部と脛部との長さの和が眼の前端から肛門までの距離にほぼ等しい。後肢の水かきはよく発達し、各趾の吸盤まで達している。 雄は喉に1個の大きな外声のうをもち、美しい声で鳴く。
類似種
独特の形態と鳴き声により、他種と区別される。なお、沖縄諸島、トカラ列島、台湾には近縁種のニホンカジカガエルがいる。
生息場所
山地の渓流や水のきれいな川の上流、湖岸、小川や水田のほとり、樹林の下草など湿り気のあるところに生息する。冬季は岸辺の浅い砂中や石の下で越冬する。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:4〜8月。多くは4〜7月に産卵する。
産卵場所:渓流や上流の平瀬にある転石の下や草の根元などに、50〜100個を含む大きな寒天質の卵塊を産む。
卵:卵は上部が黒褐色で直径1.5〜3.0 mm、雌1匹当りの産卵数は約500個である。
発生:卵は約2週間で孵化する。幼生(オタマジャクシ)は黒褐色で、約4 cmとかなり大形で、地域によっては紅色の小斑紋が体全体に現れる。幼生の口や胸は吸盤の働きをするため、流れから身を守り、石の表面についている藻類を食べるのに役立つ。産卵後3〜4ヵ月で変態し、体長約15 mmの子ガエルになる。
食 性
クモやハエ、蚊など小型の昆虫類を好んで捕食する。
初夏の産卵期、雄は「フィー、フィフィフィ」と笛のような声で鳴く。そのため、江戸時代頃から水盤などで飼育され、また昔から歌や詩に読まれている。
非常に警戒心が強く、人が近づく気配ですぐ鳴き止み、巧みに石の下や隙間に逃げ込む。
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