ヘビトンボ
 Protohermes grandis
分 布
北海道から九州にかけて広く分布する。
分 類 アミメカゲロウ目 ヘビトンボ科
形 態
成虫:体長約40 mm、翅開長約100 mm。体は黄色で頭部や前胸部に黒斑がある。翅(はね)はやや褐色で透明、黄色の斑がある。成虫も幼虫と同様に大顎が発達している。幼虫:体長40〜60 mm、腹節側面には細毛に覆われた付属器がある。第1〜7腹節下面に総状の鰓(えら)がある。腹部は紫色を帯び、柔らかく、しわが多い。各腹節背面の両側面に気門が顕著な斑紋として見られる。尾肢には長い鈎がある。
類似種
類似種にヤマトクロスジヘビトンボとクロスジヘビトンボがある。これら2種は腹節側面の付属器に細毛を持たず、第1〜7腹節下面にも総状鰓を持たないため容易に区別できる。
生息場所
河川の中流から上流部の渓流や湧水域の礫や転石の下に生息し、流れのゆるい平瀬よりむしろ早瀬を好む。
生活サイクル
繁 殖
繁殖場所:繁殖は川岸近くの茂みなどで行われ、雄は精包の周囲にゼリー状の物質を付着させ、雌がこのゼリー状物質を食べている間に精包内にある精子が受精のうに移動して受精が完了する。受精を終えた雌は水辺の水草や転石などに卵塊を産みつける。
幼虫:水中生活する期間は2〜3年で、終齢幼虫は春から夏にかけて河岸に上陸し、土中で蛹になり、約10日間で羽化し成虫となる。
食 性
礫や転石の下などに潜み、近づいて来る水生昆虫や小動物などを強靭な大顎で捕食する。
水質の汚濁には敏感である。
蛹化は土中で行われるため、コンクリート護岸などでは生活史を完結させ ることがが困難になる。
本種はマゴタロウ(孫太郎)虫とも呼ばれ、乾燥させたものは古来より漢方薬として珍重されている。
出水時に上流から流されてきた幼虫が市街地でたまたま成虫になり、見慣れない不恰好で大きな虫に話題騒然となることがしばしばある。
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