ウルマーシマトビケラ
 Hydropsyche orientalis
分 布
国内では、北海道から九州、沖縄中北部に広く分布する。国外では、朝鮮半島に分布する。
分 類 トビケラ目 シマトビケラ科
形 態
成虫:体長5〜6 mm、翅開長18〜20 mm。大きさは、場所や季節によって変化が大きい。体色は黒褐色で、腹部は褐色、触角は黄色で細く、各節に黒線がある。前翅には、灰黄色と褐色の毛が混生して密に生え、網状紋を作る。後翅は半透明色で暗色。
幼虫:体長約14 mm、頭幅は1.1〜1.4 o。頭部から後胸にかけて背面はキチン質で茶褐色である。頭部側面の淡色部は後頭部までのびないか、幅が狭くなる。 蛹:体長約11 o。
類似種
シマトビケラ属は、成虫、幼虫ともにどの種類も外見が酷似しているため識別は困難である。成虫の識別は生殖器の形態による。
生息場所
成虫は河岸近くの草木や樹林に多く生息する。幼虫は河川の上流から中流にかけての流れの速い瀬に多く生息する。
生活サイクル

(関東以西の暖地の周年経過)
繁 殖
交尾・産卵:主に生息場所で交尾・産卵が行われていると思われるが、詳しいことは知られていない。
幼虫・蛹:幼虫は、頭部の両頬の規則的なやすり状の細い溝を、前肢腿節(ぜんしたいせつ)の突起でこすって発音する防衛行動を行う。幼虫には、越冬世代と非越冬世代があり、成虫は5〜10月、蛹は3月中旬〜9月下旬まで連続的に見られる。
食 性
主にデトリタス(生物体の破片・死骸・排出物・分解産物など)を摂食するが、広食性で、付着藻類や動物質なども摂食する。
河川構造物の建設にともなって、水温の上昇や餌の供給増加が起こり、高密度化が生じることがあると考えられている。
幼虫は、水力発電所の導水トンネル内に無数の巣を作り、流速を低下させることから水力発電所の害虫として知られる。
ウルマーシマトビケラの名はドイツの昆虫学者ウルマーに由来する。
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