ヒゲナガカワトビケラ
 Stenopsyche marmorata
分 布
北海道から九州の河川に広く分布する。
分 類 トビケラ目 ヒゲナガカワトビケラ科
形 態
成虫:体長11〜18 mm、翅開長27〜48 mm。頭・胸部と前翅は灰色か暗褐色で後翅は色がやや薄い。静止時は翅(はね)を屋根型にたたみ、触角を前方に伸ばす。触角は長く、前翅長の約1.5倍ある。一見ガに似た印象を受ける。
幼虫:体長30〜40 mm。頭部は細長く、先端に1対の眼がある。体形は頭部が体軸と同方向に向いているカンポディア型である。体色は黒褐色から暗褐色である。前肢亜基節の突起は基方のものが先方のものより長い。
類似種
類似種にチャバネヒゲナガカワトビケラがある。本種との相違点は、ヒゲナガカワトビケラでは頭部背面の正中線上に斑点があるのに対し、チャバネヒゲナガカワトビケラではこれがないこと、前肢亜基節の突起が先方のものが基方のものより長いことなどで区別できる。生息場所もヒゲナガカワトビケラよりも流れの緩やかな場所を好む。
生息場所
河川の中流から上流域にかけての流れの速い早瀬の礫や小石の間隙に固着巣を作り、その上流側にクモの巣のような食物捕獲網をはって生活する。
生活サイクル
繁 殖
産卵時期:春季と夏から秋の年2回であり、交尾を終えた雌は卵が成熟すると遡上飛行し、そのまま潜水して大型の石の裏側に規則正しく卵を産み付ける。
産卵場所:日の当たらない平瀬や早瀬の大型の石が選ばれる。
食 性
捕獲網にかかる流下珪藻や植物片を摂食する。
水質の汚濁には比較的弱いため、高密度の生息を維持するには河川の水質管理に留意する必要がある。
不安定な小型の礫には造巣しない。
主に石礫の間隙に強固な巣を造るため、川底の安定化に大きく寄与するとともに、捕獲網によるフィルター作用で透明度の確保や水質浄化にも役立っている。
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