ニンギョウトビケラ
 Goera japonica
分 布
北海道、本州、四国、九州に広く分布する。
分 類 トビケラ目 ニンギョウトビケラ科
形 態
成虫:体長9〜12 mm、翅開長15〜17 mm。触角の基部第1節は他の節より長くて太く、剛毛も顕著である。体、翅(はね)はともに黄褐色である。
幼虫:体長10〜13 mm。頭部は黄褐色で、後頭部には多数の斑点がある。円筒形の巣は小石で作られ、両翼に大きめの石が3〜4対ついている。
類似種
エグリトビケラは体が非常に大きいことや、前翅がえぐれた形をしていることから区別できる。キョウトニンギョウトビケラは筒巣の翼部の石が大きく、おおむね2対になっていること、本州の山地渓流部にしか分布しないことで区別できる。
生息場所
成虫は、河川周辺の樹木や草むらに多く生息する。幼虫は、河川の上流域から中流域の流れが比較的緩やかな場所に生息する。
生活サイクル
繁 殖
交尾・産卵:繁殖期は5〜10月頃。雌雄が飛翔しながら交尾を行う。雌は卵が成熟すると上流の産卵場に向かって遡上飛行する。雌は、翅の下に空気を蓄えて水中に潜り、瀬の川底にある石の窪みなどに卵を産み付ける。
食 性
幼虫は、石の表面を這い回りながら、落ち葉や付着藻類を摂食する。
山口県岩国市の錦川にかかる錦帯橋付近ではニンギョウトビケラの筒巣が「人形石」と呼ばれ、大名行列になぞらえたものが土産物として売られている。
蛹にはしばしばミズバチが寄生する。ミズバチが寄生した筒巣からは白いリボン状のものが出ている。また、最近ある種のユスリカ幼虫が本種に捕食寄生することが明らかになり、注目を浴びている。
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