カイツブリ
 Tachybaptus ruficollis
分 布
オセアニア、アフリカ、ユーラシア大陸の主に温帯に生息し、日本でも全国に繁殖するが、本州北部、北海道のものは、冬になると暖地に移動する。
分 類 カイツブリ目 カイツブリ科
生息環境区分 水鳥
渡り区分区分 留鳥、寒冷地では夏鳥
漢字名 鳰(にお)
形 態
全長25〜29 p、翼を広げた大きさ40〜45 p。一見褐色に見える小さい鳥で、カイツブリ類の中で最も小型。体は全体に丸っこく、尾は短く、ほとんどない。脚は体の後端にあり、脚指にひれ状の弁がついており、それで水を掻いて水中を自在に移動する。
 雌雄同色で夏羽は暗褐色で濃く、首から顔の上部は赤褐色、嘴(くちばし)の根元に黄白色の部分がある。冬羽は夏羽に比べ淡色になり、上面は褐色、下面は淡色。翼には他のカイツブリ類に見られるような白色部がない。眼は黄色で目立つ。幼鳥は顔や首に縞模様がある。
 鳴き声:「ケレケレ」と大きな声で鳴くほか、「ピッ、ピリリ、ギリリリ」と鳴く。 繁殖期の初め頃には、「キリッキリッキリッ、キリリリリ」と高い声で鳴いて、なわばりを宣言しているのをよく聞く。
類似種
同じ科にカンムリカイツブリがいる。カンムリカイツブリとは、全長(約56 cm)、眼の色が赤いこと、顔が白色であることで区別できる。
生息場所
湖沼や大小の池、ダム湖、ため池、河川の中・下流域、汽水域の潟湖などに生息しており、稀に海に出ることもある。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:2〜10月
産卵場所:池沼、河川などの水辺植物の密生地や広い池沼の中央部などに営巣する。ヨシの茂みの中や、水中に繁茂する水草の上に営巣する。つがいで水辺植物の葉や茎、藻類を集めて直径50〜60 cmの球状の巣を作る。巣の大部分は水中にあり、水上部は3〜5 cmである。
卵・雛:卵数は2〜6個である。抱卵日数は20〜25日。
孵化した雛は綿毛に覆われている。誕生後しばらくすると水中に泳ぎ出るが、生後1週間くらいは時々巣に戻る。雛は親から小魚やエビなどを給餌される。
食 性
巧みに水中に潜って採餌する。1回の潜水時間は10〜30秒である。主に魚類、甲殻類、水生昆虫、貝類などの動物質の餌をとるほか、ヒシの実のような植物質の餌も食べる。
なわばり性が強く、本州の太平洋岸地方や南西日本では、一年中なわばりを形成し、つがいで生息すると言われる。冬期には、特に夜になると、群れを形成するという習性が太田川では観察される。
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