オシドリ
 Aix galericulata
分 布
北海道・本州・九州・沖縄で繁殖し、四国、伊豆諸島、佐渡。隠岐、対馬、壱岐、種子島、奄美大島、南大東島などにも分布する。東北地方以北では夏鳥。
分 類 カモ目 カモ科
生息環境区分 水鳥
渡り区分区分 留鳥、または漂鳥
漢字名 鴛鴦
形 態
全長は雄が約48 p、雌が約41 p。翼を広げた大きさ70〜77 p。雄成鳥の羽色は大変美しく、特徴的である。
 頭上から後頭に冠羽があり、顔は白く、顎から首にかけて栗色の筋状の羽がある。胸は紫色で、側胸に2本の白線がある。脇は黄褐色で、細かい横線が密にある。腹から下尾筒(げびとう)は白い。三列風切(さんれつかざきり)の最内羽は最も特徴的で、帆のような形になって目立ち、銀杏羽と呼ばれている。色は橙色。嘴(くちばし)は紅色で先端は白い。脚は橙色。
 雌はほぼ全身が灰褐色で、胸から脇、腹にかけて灰白色の斑紋がある。白いアイリングがあり、眼の後方に白色の線が伸びる。雄のような銀杏羽はない。嘴は赤みを帯びた黒色。脚は灰黄色。
 他のカモ類に比べて頭部は大きく、尾は長い。
鳴き声:雄は「ウィップ」「ピュイ」、雌は「キュイ」「クァッ」と鳴く。
類似種
雄成鳥は色彩が見えれば、混同されることはない。銀杏羽を広げた形はシルエットでも見分けられる。雌はトモエガモ、ヒドリガモの雌に類似する。オシドリの雌には白いアイリングがあり、眼の後方に白色の線があることで区別できる。
生息場所
山間の渓流や山地の湖などに生息し、開けた水面に出ることは好まず、木陰に隠れるようにしていることが多い。他のカモ類よりもよく木にとまり、木の枝の上をねぐらとする。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:4〜7月
産卵場所:低山帯や平地の水辺に近い高木の樹洞中に営巣。巣の形状は樹洞の底に枯れ草と綿羽を敷いてつくる。
卵・雛:卵数は7〜12個で、卵の大きさは約5.2×3.7 cm。卵の色彩は淡褐黄色で無班。抱卵日数は28〜30日である。孵化した雛はすぐに歩くことができ、巣穴から飛び降り、親鳥に導かれて水辺に向かう。
食 性
主に植物性のものを餌とし、いろいろな草木の実を食べる。特にカシ類、ナラ類などのどんぐりを好む。水生昆虫などの動物質のものを食べることもある。
越冬期には数十羽から数百羽の群れを作ることもあるが、太田川では主に上流部で見られる。希少種であるので、繁殖地と渡来地の環境保全が必要である。
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