スナヤツメ
 Lethenteron reissneri
分 布
北海道、本州、四国と、鹿児島県、宮城県を除く九州に分布する。国外では、沿海州、中国北部、朝鮮半島に分布する。
分 類 ヤツメウナギ目 ヤツメウナギ科
地方名 ヤツメ(近畿地方、四国)、スナクグリ(北陸)、メクラ(関東、新潟、九州)、
  スナハマリ、 カゲース(広島県)
形 態
全長13〜16 cm。幼生はアンモシーテス幼生と呼ばれ、吸盤がなく、眼は皮膚の下に隠れる。アンモシーテス幼生の期間を約3年過ごしたのち、全長14〜19 cmで変態する。変態後はいっさい食物をとらない。成体の口は吸盤状で内側に3対の歯がある。眼も体に現れる。消化管は退化して用をなさない。変態後、全長は13〜16 cmに収縮する。
 幼生、成体ともに頭部に7対の鰓穴がある。
類似種
太田川には同じ科の魚類は生息していないと思われる。類似種にはカワヤツメ、シベリアヤツメなどがいる。
生息場所
幼生・成体ともに、水の澄んだ流れの緩やかな浅い細流に生息する。増水の影響を受けない場所で、湧水のある、砂泥底のところを好む。
 昼間は泥底の比較的浅い場所にひそみ、夜間には活発に泳ぎ回る。降海せず一生を淡水で過ごす。
 太田川では昭和30年代まで本流で多く見られたという。現在では支流の一部に生息する。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:4〜6月
産卵場所:生息場所から上流の小川に入り、砂礫底に数尾群がってくぼみを作り、卵を産みつける。
卵・仔魚:卵は不透明な淡灰色で直径約1 mm。水温19℃、約10日で孵化する。
食 性
アンモシーテス幼生は、底泥上、底泥中の有機物やケイソウ類をろ過して食べる。 主に水生昆虫を食べる。
 成体は食物をいっさいとらない。
かんの虫の薬として、マゴタロウ(孫太郎)虫(ヘビトンボ幼生)の代用  となる。
生息環境が河川工事や河床の平坦化の影響で、減少している。
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