ウナギ
 Anguilla japonica
分 布
太平洋側は北海道の日高地方以南、日本海側は石狩川以南の日本各地に分布する。国外では、朝鮮半島、中国、台湾島に分布する。
分 類 ウナギ目 ウナギ科
地方名 シラス(稚魚)、クロコ、メソ(40g以下)、キソダシ(50〜75g)、ボク(300g以上)、      ターンナージャー(沖縄)、カニクイ、ゴマウナギ(広島県)
形 態
全長約100 cm。体色は変異に富み、背面は真黒なものから黄褐色に至るまで、腹面はやや淡色のものから白色まである。斑紋は個体によって存在するものと、濃色の斑紋をもつものがある。鱗(うろこ)はあるが極めて少なく皮下に埋没し、ふつうは見えない。仔魚はその形から葉形仔魚(レプトセファルス幼生)と呼ばれる。シラスウナギは葉形仔魚が変態してウナギ形になったもので、全長5〜6 cm、無色透明に近い。
類似種
太田川には同じ科に属する別種の魚類は生息していないと思われる。
生息場所
河川の中・下流域や河口域、湖にいるが、時には川の上流部、内湾などにも生息する。また、増水時の流れを伝って、平素は海に連なっていない、山間のため池などにも入り込む。日中は石垣・土手の穴、底泥の中などにひそみ、夜間活発に活動する。産卵のために海へ下る。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:4〜12月
産卵場所:河川や湖で7〜8年過ごし、10〜11月頃産卵のため海へ下る。産 卵場所がどこなのか確定的なものはないが、フィリピンの北東海域で、水深300〜500 mにあるといわれている。
産卵行動:確かなことは不明であるが、中国での養殖ウナギの観察によると、雄が雌を追い、互いに寄り添ってぐるぐる回り、雄が鼻先を雌の生殖孔付近に接触させる。この行動を繰り返して最高潮になると泳ぎながら放卵し、1〜3尾の雄が放精する。この時間は20分あまりである。
卵・仔魚:卵は透明で球形の分離浮遊卵で、直径約1 mm。水温23℃、38〜45時間で孵化する。
食 性
レプトセファルス幼生が何を食べているのかは不明である。デトリタス(生物体の破片・死骸・排出物など)を食べているのではないかという説もある。
 川にのぼると主に春から秋に、水生昆虫類、小型の魚類、貝類、エビ類、カエル類など多種多様な生物を餌として食べる。水温が10℃以下になるとほとんど食物をとらず、冬には泥にもぐっている。
蒲焼きにして食べるのが一般的。養殖が盛んに行われており、年間消費量の96%以上は養殖されたものである。
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