アユ
 Plecoglossus altivelis altivelis
分 布
北海道西部以南の日本各地に分布する。奄美大島と沖縄島には別亜種が分布する。
分 類 サケ目 キュウリウオ科 アユ亜科
地方名 アイ(日本各地)
形 態
全長18〜30 cm。背側は青みがかったオリーブ色で腹側は銀白色である。
 特になわばりをもつ個体では、胸びれ基部の後方に長方形の黄色横斑があらわれ、背びれは黒色を帯び、あぶらびれの先端は鮮やかなオレンジ色を呈する。
 口は大きく、両顎が細長く軟らかい唇で縁どられ、噛み合わせの部分には櫛状の歯が並び、石についた藻を摂餌しやすい構造になっている。
 産卵期のアユは「さびアユ」とよばれ、雌雄ともに体色が黒ずみ、体はざらざらになる。
類似種
同じ科の他の魚類は生息していないが、水面上から見るとウグイ、カワムツなどが類似する。アユはあぶらびれがあること、口が大きいことで区別できる。
生息場所
若魚から成魚は、河川中流域に生息し、早瀬、平瀬の岩がある礫底に多い。良い餌場を見つけると、なわばりを形成するものがでてくる。なわばりの広さは概ね1m2である。孵化した仔魚は、海へ下り、5〜6ヵ月ほど沿岸部に生息する。
 太田川では昭和8年頃から琵琶湖産アユや海産アユが放流されてきた。昭和47年頃から人工産アユの生産技術が確立され放流されている。その反面、天然アユの生息数は減少した。天然アユの復活が望まれる。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:9〜11月
産卵場所:中流域と下流域の境目付近にある、比較的流速の速い砂礫底の瀬に、多数群がって産卵する。川底の砂礫に産着させる。
産卵行動:産卵場に多数集合して産卵を行う。雄は数週間にわたって産卵に参加するが、雌は一気に放卵する。産卵は主に夜間に行われるが、盛んな時期には昼間にも継続される。
卵・仔魚:卵は直径0.7〜1.1 oで、強い粘着性をもつ。水温15〜20℃では2週間前後で孵化する。仔魚は全長5〜7 o。孵化後河川の流れに沿って、海へ流下する。
食 性
仔魚および稚魚は動物プランクトンを摂餌する。幼魚は水生昆虫等を食べるが、全長8.5 cmを越える頃には口器が変化し、付着藻類を食べるようになる。
 成魚は付着藻類を食べる。上下の唇を岩にこすりつけて食べるため、岩に独特の「はみあと」が残る。
古来より重要な食用魚として利用され、漁法も地方によって様々な方法がある。
食べ方も様々あるが、塩焼きにして、タデ酢をつけて食べるのが最も一般的かつ美味。揚げもの、蒸しもの、吸いもの、刺身、つくだ煮など実に多様である。
現在天然アユの個体数が減少しているため、人工種苗や琵琶湖産アユ、海産のアユなどが盛んに放流されている。
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