サツキマス
 Oncorhynchus masou ishikawae
分 布
アマゴの分布域のすべてに生息していたと考えられるが、ダムや堰堤、水質汚染によって、遡上、降海の経路を分断されている。現在、天然の個体群の確認は長良川等の河川に限られている。
分 類 サケ目 サケ科
地方名 マス、カワマス(木曽、広島県)
形 態
全長30〜40 cm。アマゴとは同種であるため、仔魚期、稚魚期の形態はアマゴと同様である。1歳に満たないもの、稀に1歳魚の銀化が始まる。銀化にともない、明瞭だったパーマークは不明瞭もしくは消失し、体側は銀白色に、背びれや尾びれの先は黒くなる。背面の黒点と、体側の朱点は残ることが多い。
 産卵期には、雄雌に婚姻色が現れ、体側に朱紫色の横斑がでる。また、雄の顎はしゃくれ、鼻が曲がる。
類似種
近縁種にサクラマス(ヤマメ降海型)がいる。サクラマスは体側に朱点がないことで区別できる。
生息場所
稚魚、幼魚期はアマゴとほぼ同じ場所に生息し、銀化したものは下流に向かって移動し、10〜11月に降海の準備をする。12〜1月に降海し、内湾などの沿岸に生息する。体長30〜40 cm、体重300〜1,000 g程度に成長したのち、4〜6月頃に河川に遡上する。
 放流試験や漁獲調査によると太田川に上ってくるサツキマスは1,000〜3,000尾で回帰率は約5%である。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:10月上旬〜11月下旬
産卵場所:水深10〜30 cm、流速30 cm/sec程度の瀬頭に雌が産卵床を作る。河床は礫底ないし砂礫底である。産卵床はアマゴのものより大きい。
産卵行動:雄は産卵場所に現れた雌をめぐって激しく争い、最も大型の雄と雌がつがいを形成する。つがいになった雌雄は産卵床に、産卵・放精する。産卵を終えるとほとんどの個体が死亡する。
卵・仔魚:卵は球形で、直径は4〜6 mmである。受精後30〜50日で孵化し、3〜4ヵ月は産卵床の中で暮らす。
食 性
産卵床から浮出した稚魚はユスリカ、ソコミジンコなどの小型水生動物を主に食べる。
 海中生活時はイカナゴ、カタクチイワシなどの魚類、甲殻類、多毛類を食べる。
 河川遡上後はほとんどエサを食べないといわれている。
アマゴと同じく非常に美味である。特に刺身は絶品。天ぷら、甘露煮、塩焼きも美味である。
湖を海と見立てて湖に降下し、産卵期になると湖から遡上する行動を降湖という。広島県では、柴木川上流の樽床ダムに降湖型が生息している。
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