アマゴ(降海型はサツキマス)
 Oncorhynchus masou ishikawae
分 布
日本固有亜種である。本来の分布は、神奈川県酒匂川の右岸側支流以西の本州太平洋側、四国全域、大分県大野川以北の九州太平洋側である。近年人工種苗の放流により、分布域がみだれ、現在では日本海側での生息が確認されている。
分 類 サケ目 サケ科
地方名 タネビラ(木曽)、アメ、アメノウオ(紀伊半島、滋賀県、四国)ヒラメ、ヒラベ(広島県)
形 態
全長20〜25 cm。背側は濃青緑色ないし濃緑色で、体側は淡紅色を帯びた銀白色である。成魚でも体側に7〜11個の暗青緑色のサケ科幼魚の特徴であるパーマークがある。背側には小黒点、側線の上下から背部にかけては朱点が散在する。大河川の大型個体は夏に銀化し、体色が銀白色になり、パーマークが不明瞭になることもある。産卵期には雌雄ともに、側線付近が黒ずみ、太い黒色の縦条(たてじょう)が入ったように見える。
類似種
近縁種にヤマメがいる。太田川はヤマメの分布域と異なるが、人工種苗の放流などにより、生息している可能性はある。ヤマメには体側に朱点がないことで区別できる。
生息場所
年間を通じて水温が20℃以下の渓流域に生息する。同一河川に中国地方のイワナの仲間であるゴギも生息する場合は、ゴギより下流部に生息する。
 昼間は、流れ込みや淵尻に定位し流下してくる餌を食べる。複数生息する場合は大きさ順に順位ができる。夜間は水深の深いところで休む。
 孵化して3〜4ヵ月後の稚魚は、岸よりの浅く、流れの緩やかな、巻き返しやたまりに生息する。全長5 cm程に成長した稚魚は徐々に成魚と同じ場所に移動する。
 太田川ではおおむね標高300 m以上の清流に生息する。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:10月中旬〜11月上旬
産卵場所:水深10〜30 cm、流速30 cm/sec程度の瀬頭に産卵床を作る。河床は礫底ないし砂礫底である。
卵・仔魚: 卵は球形で、直径は4〜6 mmである。受精後30〜50日で孵化し、3〜4ヵ月は産卵床の中で暮らす。
食 性
冬から早春にかけては主に水生昆虫を食べ、その後は陸生昆虫を主に食べる。主な摂餌方法は定位摂餌で、これは河川生活期のサケ科魚類に共通した摂餌方法である。
 産卵床から浮出した稚魚はユスリカ、ソコミジンコなどの小型水生動物を主に食べる。
非常に美味である。天ぷら、甘露煮、刺身などで食されるが、塩焼きが最も美味である。
渓流釣りの対象魚で養殖したアマゴが放流されているが、一方天然のアマゴは非常に少なくなっている。
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