オオクチバス
 Micropterus salmoides
分 布
日本へは、1925年アメリカ合衆国のオレゴン州から神奈川県芦ノ湖へ移入されたのが最初である。魚食性が強いため、芦ノ湖から外部への持ち出しが禁止されていたが、近年マニアや釣具関連者の放流によって各地へ移植され、今ではほとんど日本全国に分布するようになった。自然分布域はカナダのケベック州南部とオンタリオ州を北限、ミシシッピ峡谷を西限とする北アメリカ南東部である。しかし、現在では移植の結果、アメリカのほぼ全域のみならず、世界各地に分布するようになった。
分 類 スズキ目 バス科
地方名 バス(日本各地)
形 態
体長30〜50 p。北アメリカ原産の外来魚。スズキに似た形をしている。口が大きく魚食性が強くどう猛である。背側は灰褐色で、側面はそれよりややうすく、腹側は乳白色から黄色である。背側には暗褐色の斑点があり、また吻端(ふんたん)から尾びれ基底に達する幅広い黒褐色の縦条(たてじょう)があるが、大型の個体では後者は断続し、かつ不明瞭になる。
類似種
同じ科にコクチバス、ブルーギルがいる。ブルーギルには鰓ぶた上後端に黒色の突起がある。コクチバスは口の後端が眼の中央下(ブラックバスは眼の後縁後方下)にある。
生息場所
湖の沿岸部(水深7 mぐらいまで)や浅い池沼に生息し、特に水草のあるところを好む。比較的流れの緩やかな、河川の中・下流域・汽水域にも生息する。
 太田川では1985年に三篠川の合流点付近で最初に確認された。現在では高瀬堰の貯水池や太田川上流のダム湖に生息する。オオクチバスによる在来魚への食害や生態系への影響が深刻な問題となっている。広島県条例で外来魚の密放流は禁止されている。
 春から秋にかけては、水草地帯や障害物のある沿岸部で活発に餌を求めて動き回り、水温が10℃前後になる晩秋には深いところへ移動し、厳寒期には沈木、岩などの障害物の間で群れをなして越冬する。
 稚魚は生後約3週間は群れで水草地帯を泳ぎ、体長5 pのころから深みに移って単独生活をする。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:5〜7月
産卵場所:流れのない、水深0.3〜1.5 mの砂礫底。泥底に場合は、木の切り株や水草の茎に産卵する。
産卵行動:雄が直径約50 cm、深さ15 cm程度の巣を作り、そこに雌を迎え入れて産卵する。
卵・仔魚:卵は球形で粘着性。受精後の直径は1.5〜1.7 o。卵黄はこはく色から淡黄色である。3〜5日(水温16℃)で孵化する。雄親魚は孵化後3週間ほど、仔魚を守る。
食 性
非常に貪欲で、魚類を中心に、甲殻類、カエル類を食べる。
 仔魚は体長5 cmまでは、雄親魚の保護下で岸辺の水草地帯でプランクトン動物を食べる。
身は白身で美味である。琵琶湖周辺地域などでは学校給食に出されることもある。
ルアー釣りの対象魚として、広く人気がある。一方、繁殖力が強く、各地に放流されたので、在来種に深刻な影響を与えている。
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