シマヨシノボリ
 Rhinogobius sp.CB
分 布
北海道を除く日本全国に分布する。越後、関東、濃尾、大阪などの大平野部の河川には少ない。国外では、朝鮮半島と台湾島から知られている。
分 類 スズキ目 ハゼ科
地方名 ゴリ(日本各地)、アオバラ(愛知県大洲地方)ゴリンチョ(広島県)
形 態
全長約7 cm。体側に約6個の明瞭な横斑がある。頬にはミミズ状の赤色の細長い斑紋が散在し、胸びれの基底付近には三日月状の斑紋が2〜3個ある。背びれ、尾びれ、尻びれの地色は淡く、その上に数列の濃色小斑が並ぶ。尾柄部にはカイゼルひげに似た黒色斑がある。腹部の中央に長方形の大きい青色斑が1個存在する。繁殖期には雌の腹部全体が青色を帯びる。
類似種
ヨシノボリ属の魚類は吸盤状の腹びれを持つハゼ科の中で、上唇が厚く、頬が膨らんで、えら蓋より前には鱗(うろこ)がないという特徴を持つ。同じ属にシマヨシノボリ、オオヨシノボリ、トウヨシノボリ、カワヨシノボリなどがいる。シマヨシノボリは、頬にミミズ状の斑紋があることで他と区別できる。
生息場所
川の中流域を中心に生息し、特に平瀬に多い。大河川にも小河川にも分布する。 孵化した仔魚は海へ下り、2〜3ヵ月間を海で暮らす。全長1.5〜2 cmに成長した後、河川へ遡上する。
 太田川では高瀬堰下流に多い。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:5〜7月
産卵場所: 生息場所と同様。
産卵行動:雄は砂礫に埋まった岩の下に産卵室を作り、雌を呼び入れる。雌は産卵室の天井に1層の卵を産着させる。産卵後も雄は巣にとどまって、孵化するまで卵を守る。
卵・仔魚:卵は長円形で長径は1.8〜3 mm、短径は0.6〜0.9 mm。水温20〜22℃の状態で、3〜4日で孵化する。仔魚は全長3〜4 mm。
食 性
雑食性で、付着藻類や小型の水生昆虫を主に摂取している。
小型のものは唐揚げ、卵とじ、みそ汁などに、大型のものは飴だきや佃煮にされる。同属のカワヨシノボリは特に美味。
シマヨシノボリの性質は他のヨシノボリ属の魚類と比べて神経質で、人の接近に敏感に反応し、捕まえにくい魚類である。
シマヨシノボリは川と海とを回遊するため、河川を横断する工作物には適切な魚道を設けることが必要となる。
本ホームページ内に掲載の記事・写真などの無断転載・無断引用・販売等を一切禁じます
Copyright by 太田川河川事務所