ヌマチチブ
 Tridentiger brevispinis
分 布
北海道から九州までに広く分布する。国外では朝鮮半島と中国から知られている。
分 類 スズキ目 ハゼ科
地方名 ダボハゼ(関東地方:混称)、ゴリ(日本各地:混称)
形 態
全長約15 cm。体色は暗色で、頭部から頬にかけて、白色の斑点がまばらに存在する。白色の斑紋は体側にも並ぶが、ときにこれらが消失して数条の幅広い暗色の横帯があらわれることがある。
 未成魚や雌、婚姻色の出ていない雄には胸びれ基部に橙色の横斑が不規則に存在する。第1背びれに2〜3本の暗赤色の縦条(たてじょう)がある。
類似種
同じ属にチチブがいる。ヌマチチブには胸びれ基部に橙色の横斑があること、第1背びれが糸状に長くのびないこと、頬の白色斑がチチブに比べてまばらなことから区別できる。
生息場所
河川の汽水域から中流域、汽水湖、ため池など、多様な場所に生息する。
 太田川では高瀬堰から大芝水門の間の淡水域に多い。
 成魚は泥底にも生息するが、本来は岩や倒木、杭などの堅い基底がある場所などを好む。孵化した仔魚は海へ下り、1〜3ヵ月間を海で暮らす。体長0.8〜1 cmに成長した後、河川へ遡上する。
生活サイクル
繁 殖
産卵期:4月下旬〜9月上旬
産卵場所:生息場所とほぼ同じ。
産卵行動:雄が岩の下などに産卵室を作った後に、雌を迎え入れ、産卵室の全面に卵を産着させる。
卵・仔魚:卵は電球型で、長径0.51〜0.61 mm、短径0.47〜0.53 mm。
食 性
主に水生昆虫や小魚を食べるが、付着藻類を食べることもある。
卵とじ、天ぷら、吸い物の種にする。大形のものは骨が気になるが、肉質、味はよい。漁法としては小型底曳網、柴漬けなどで漁獲される。ゴリ押し、ガラ曳き等の伝統的漁法もある。
ヌマチチブは1972年に勝山ほかにより、チチブより新亜種として分離された。チチブとヌマチチブの両者が生息する川では、汽水域にチチブが淡水域にヌマチチブが生息する傾向がある。
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