カヤネズミ
 Micromys minutus japonicus
分 布
本州の太平洋側では福島県以南、日本海側では石川県以南、四国、九州に分布する。隠岐諸島、淡路島などにも分布するが、島における分布についてはまだ十分な資料がない。国外での生息域は、スカンジナビア半島の付け根部分から、ほぼ北緯45〜60度の間を東に向かうに従って南下する帯状を呈し、朝鮮半島に至っている。また、飛び石上にミャンマー北部やインドのアッサム地方にも生息している。
分 類 ネズミ目 ネズミ科
形 態
体長:頭胴長6〜7 p、尾長7〜8 p、体重7〜8 g。
 アフリカ産キノボリマウスとともに、ネズミ科のなかでは最小の種である。
 顔は丸い感じで吻(ふん)は短く、耳介は小さくて大部分が毛衣に埋まる。尾は長くて先端は裸出し、先端はものに巻きつけることができる。
 スマートな美しいネズミで、成体は背面は橙黄色、腰部は純白。幼体は背面が暗褐色、腹面は灰白色である。
類似種
河川敷、土手、耕作地などにも出現する小型のネズミとして、ハツカネズミ、アカネズミ、ヒメネズミがある。
 ハツカネズミは頭胴長6〜9 p、尾長4〜8 p、体重9〜23 g。背面は暗褐色、腹面は白色で、毛は短く軟らかい。河川敷、土手、荒地、水田、畑などに生息し、体型もカヤネズミにやや似ている。
 アカネズミはカヤネズミよりはやや大型で頭胴長9〜13 p、尾長7〜12 p、体重30〜60 g。背面は緋色か茶褐色で腹面は口元まで白い。突出した大きな眼と大きな後肢を持つ。主に樹林や林縁部に生息するが、農地や河岸の草地にも出現する。
 ヒメネズミは頭胴長7〜 p、尾長8〜11 p、体重12〜24 g。尾は頭胴部より長い。背面は黒褐色で、腹面は口元まで白い。樹林性のネズミで特に亜高山帯に多い。
生息場所
イネ科植物の優占する草地、河川敷、堤防、麦畑などに生息するが、低地の草地、水田、休耕田、沼沢地などのイネ科植物が密生した水気のあるところに多い。
行動圏は雄が約400u、雌が約350uである。
繁 殖
繁殖期:九州など南部の地域では春から初夏にかけてと、秋から初冬にかけての2回繁殖するが、関東地方では夏のみである。1回の繁殖期内に数回出産する。妊娠期間は17〜18日。1回の仔数は2〜8頭、平均5〜6頭である。
繁殖場所:生息地内に繁殖用の巣を作って出産する。
食 性
野外での食物調査はないが、ヒエ・アワ・アサ・ヒマワリの種子、サツマイモ、バッタ類などが飼育下の主な食物である。
 小型動物に共通した習性であるが、1日に体重の1/3〜1/4の重量の餌を食べる。
球巣が荒らされると、危険を感じた母ネズミは新しく球巣を作り、引越しをする。新しい巣はたいてい元の巣の近くに作られ、完成するまで4〜5時間かかる。完成すると1頭ずつ仔を移す作業にとりかかる。
カヤネズミなど野ネズミの天敵はキツネ、タヌキ、テン、イタチ、ヘビ、フクロウ、タカなどである。
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