タヌキ
 Nyctereutes procyonoides viverrinus
分 布
北海道、本州、四国、九州に広く分布している。
分 類 ネコ目 イヌ科
形 態
体長:頭胴長50〜60 cm、尾長15〜20 cm、肩高約20 p、体重3,000〜9,000 g。
 全身白毛が混じった灰黒色で、長いさし毛がある。眼の周囲には黒斑があり、四肢や尾の先は黒色を帯びる。長胴短脚の体形で、耳や鼻は丸く、口先は尖っている。接地する後肢の指は4本である。
類似種
アナグマは、四肢の爪が湾曲していることや、頭部には白黒の目立つ縦縞模様があることで容易に区別ができる。また、アナグマはイタチ科の動物で、後肢の指が5本であることで区別ができる。
生活行動
年周行動:タヌキは一夫一妻制で、春に繁殖し、仔が成長する初秋まで家族が近い距離に集まり生活する。雄は仔育てに熱心で、餌を運んだりグルーミングをしたりして雌や仔を防衛する。生後10ヵ月前後になると、仔は親とほぼ同じ大きさとなり、親仔の関係は弱くなる。秋には親仔の関係だけではなく仔同士の関係も弱まり、しだいに分散し独立生活を送るようになる。その後、冬眠を経て雌雄とも生後10ヵ月で成熟する。
行動・習性:タヌキは通常3〜5頭のグループで行動する。グループの大きさは季節によって異なり、時折、数家族が一緒に集団行動をする場合がある。
 タヌキは夜行性で、日没の約1時間前から行動を開始し、真夜中の休憩をはさんで日の出まで採餌活動を行う。
 タヌキには排泄物を特定の場所に集中する「ため糞」と呼ばれる習性がある。この「ため糞」は個体あるいは家族集団間のなわばり識別の役割があると考えられている。1匹のタヌキの行動域には約10ヵ所の「ため糞」があると言われている。
 タヌキにはひどく驚かされたとき一時的な仮死状態となり相手をだます習性がある。この行動は「タヌキ寝入り」と呼ばれ、意識的ではなく、恐らく本能的に行われる。
生息場所
山地から郊外の住宅地まで広く生息するが、主に樹林やその林縁部、川や沼沢などが散在する場所に多く生息する。行動圏は雌が約50 haで、約10ヵ所の休憩・採食場所とそれらをつなぐ通路で構成されている。なわばりについては、持つ・持たないの両説があり分かっていない。
繁 殖
交尾・出産:発情期が近づくと、雄は後肢をあげて尿かけをするマーキングが増える。2月下旬〜4月に交尾をし、5〜6月に4〜6頭(最大12頭)の仔を出産する。妊娠期間は60〜65日、授乳期間は約30日である。
繁殖場所:特定の巣は作らず、樹木の根元や岩の割れ目、他の動物が掘った穴などを利用して繁殖する。
食 性
雑食性で、ビワ、カキ、ナシなどの果実、木や草の根や地下茎などの植物質のほかに、コガネムシ、バッタなどの昆虫、カエル、ヘビ、ミミズ、カニ、タニシ、小魚、小鳥、ネズミなどの動物質も採食する。
1960年代くらいまでは毛皮にするための狩猟獣であったが、近年は利用価値が低下しあまり捕獲されない。そのため増加傾向にあり、作物や残飯目当てに人家周辺に出没する個体が増えている。
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