クサソテツ
 Matteuccia struthiopteris
分 布
国内では、北海道・本州・四国(きわめて希)・九州(中央山地)、国外では、東アジア、 ヨーロッパ、 北アメリカ東部に分布する。
分 類 シダ植物 大葉植物群 シダ亜群 シダ類 イワデンダ科
生活形 多年生シダ類、 夏緑性
生 態
河川の岸辺で河原、岩上、竹林の縁辺などに群生する。河川から離れた山地などには分布しない。広島県では比較的希な分布で、年平均気温15℃以下の県中北部に偏っている。
形 態
春に新芽を出して夏に茂り、冬には枯れる。根茎は直立し、枝が分かれて地中をはい、群生する。葉は大きく、長さ1 mに達する。
 葉は2形あり、胞子をつけない栄養葉と胞子をつける胞子葉がある。栄養葉は2回羽状に細かく分裂し、鋸歯(きょし)はない。葉柄に鱗片(りんぺん)がまばらにあるが、他の部分には鱗片はない。 胞子葉は栄養葉より短く、約60 cmで、1回羽状に分裂し、裂片は裏に巻いて胞子のう群を包み込む。胞子は9月〜10月に熟する。
類似種
同じ属のイヌガンソクは、川岸に生育することもあるが、ふつう河川から離れた山地の路傍や林下に生育する。イヌガンソクの栄養葉は裂片の数が少なく、10〜20対で、葉全体の形が卵形である。また、胞子葉が小形である。
生育場所(太田川での分布)
可部から上流に分布するが、あまり多くない。
生活サイクル
クサソテツの新芽は、東北地方の方言で「こごみ」と称し、美味な山菜の 代表である。すでに、富山県の縄文遺跡からもクサソテツの新芽が出 土しているので、日本人は数千年前から食用にしていたものである。と ころが、中国地方にはクサソテツが少ないので、近年まで食用にされ なかった。スーパーなどで、「こごみ」が販売されるようになって見直さ れ、太田川流域でも自生のものを集めて栽培を始めている。
夏緑性のシダで鑑賞用としても利用される。
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