アラカシ
 Quercus glauca
分 布
国内では、本州(宮城県より南)・四国・九州・琉球列島、国外では、済州島・台湾・中国大陸南部・ベトナム・ミャンマー・ヒマラヤに分布する。
分 類 被子植物 双子葉植物 離弁花類 ブナ科
生活形 常緑高木
生 態
温暖な地域の渓谷から山の斜面に生育し、山の尾根には少ない。広島県では海抜500 m以下に多く、中国山地にはほとんど分布せず、ウラジロガシやアカガシに置き換わる。川岸では岩の出た急斜面に多く、河原にはほとんど生育しない。
形 態
大きくなると幹の直径1 m以上、高さ20 m以上にもなるが、太田川では幹の直径約30 cm、高さ約10 mが多い。樹皮は黒っぽく、大きな割れ目がなく、ごつごつしている。
 葉は常緑で、長さ約10 cm、幅3〜4 cm、長い楕円形で、先端は鋭く尖り、縁には大きなきざみがある。葉の裏は白く、若い時には毛があるが、後にほとんどなくなる。
 雌雄同株。4月上旬に花をつける。雄花と雌花は別で、雄花は穂になって下がり、雌花は小さくて葉の付け根に3〜5個つき目立たない。その年の秋、9月下旬〜10月にドングリが熟する。ドングリ(堅果という)は葉の変形した皿状のもの(総苞(そうほう)あるいは殻斗(かくと)という)に1個はいっている。皿の表面は小さい鱗片(りんぺん)が5列の環状に並んでいる。ドングリは渋くて食べられない。
類似種
ウラジロガシは海抜400 m以上に多くなり、太田川では三段峡の森林の主体をなす。葉は小形で細長く、裏の白味が強い。ドングリは2年かかって熟する。
 シリブカガシは太田川では中流以下、主として広島市域に分布する。葉の大きさはアラカシに似るが、縁にきざみがなく、葉の裏は銀色を帯びる。花は10月に開花し、1年目の秋にドングリが熟し、渋みがないので食用になる。ドングリの底はくぼんでいる。
生育場所(太田川での分布)
可部から戸河内までの岩の出た急斜面に多い。海抜400 m以上では少なくなり、ウラジロガシに置き換わる。可部から下流では、点在するが少ない。かつて、古川付近には竹林の中に大きな木があったが、広島インターチェンジなどの開発で失われた。
生活サイクル
関西では多く生け垣として使われている。また、材は車両や、農機具の柄、運動器具、まき、炭などとして使われている。
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