エノキ
 Celtis sinensis var. japonica
分 布
国内では、本州(青森県まであるが福島・新潟県より南で多くなる)・四国・九州に分布する。国外では、朝鮮半島・中国大陸(南部)・ベトナム・ラオス・タイに分布する。
分 類 被子植物 双子葉植物 離弁花類 ニレ科
生活形 落葉高木
生 態
人家に近い竹やぶ、川岸、神社などに多く、公園などにもよく植えられているが、自然林には少ない。
形 態
大きくなると幹の直径1 m以上にもなり、各地で天然記念物に指定されている。太田川流域でも、広島市天然記念物「宮野八幡神社の大エノキ」(広島市安佐北区安佐町宮野)がある。太田川の河畔林では、直径約30 cm、高さ約10 mが多い。
 樹皮は灰色で、小さいいぼ状の突起が多いが、はげることはない。葉は広い楕円形で、長さ4〜10 cm、先端は短く尖り、中央部から上に鋸歯(きょし)がある。葉脈は3〜4対で、先端は葉の縁に沿って曲がり、縁までとどかない。
 花は4月上旬。雌雄同株。昨年の枝に雄花が2〜3個ずつつき、今年の新しい枝に雄しべと雌しべをもった両性花がつく。花びらは4枚、雄しべは4本。果実は9〜10月に熟し、球形で赤褐色、美味である。古代にはよく食べられたといわれ、鳥も好んで食べるので、エノキの意味は「餌の木」ともいわれている。
類似種
ムクノキは葉の表面がざらつき、樹皮がはがれやすい。ムクノキの果実は黒紫色に熟する。ケヤキの葉脈は葉縁の鋸歯の先端まで達し、樹皮がはがれやすい。ケヤキの果実は乾果で、エノキやムクノキのような液果ではない。エゾエノキは葉が小さく、葉質も薄く、鋸歯は葉の基部からある。太田川では上流域に分布し、少ない。
生育場所(太田川での分布)
デルタを除いた全域に広く分布する。もとはデルタにも多かったと推定され、広島県天然記念物「新庄の宮の社叢」(広島市西区大宮)には大きな木があり、中区平和大通の白神社付近にも被爆樹木として残っている。
生活サイクル

エノキ
オオムラサキ、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウ、シータテハなどのチョウ類の食草として、重要である。
庭木、公園樹として植樹されるほか、材は建築、器具、楽器材などに利用される。また、果肉は甘みがあり食用される。
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