ヤナギタデ
 Persicaria hydropiper
分 布
国内では、北海道・本州・四国・九州・琉球列島、国外では、台湾・中国大陸、北半球に広く分布する。
分 類 被子植物 双子葉植物 離弁花類 タデ科
生活形 1年草
生 態
河川で砂の堆積した州に群生し、秋には紅葉して美しい。このような堆積地形は水流の攻撃面の反対側に形成され、不安定な立地である。ヤナギタデは1年草であるので、まず最初に侵入し、やがて安定化するとクサヨシなど多年草に置き換わるが、洪水で破壊され、またヤナギタデが生えるというサイクルが繰り返される。
形 態
茎は直立して、高さ40〜60 cm、毛はなく、枝分かれする。葉はメスの刃のような形で、長さ5〜10 cm、幅1〜2 cm、質は薄く、両面に腺点(粘液を分泌する)がある。葉柄は短く、葉鞘(ようしょう)に移行する。葉鞘の縁に長い毛がある。葉を噛むといちじるしい辛みがある。辛み成分はタデナオールとポリゴヂールである。
 花は6月頃〜11月まで長く咲き、花被(かひ:花びらとがくの区別ができないもの)は淡紅色、腺点が多く、4〜5裂し、長さ3〜3.5 mm。果実はレンス形か3稜形、長さ約3 mm、光沢のない濃褐色。
類似種
ボントクタデはしばしば混生し、よく似ている。葉の中央に黒点があることと、茎に毛があること、葉を噛むと辛くないことなどで区別できる。
生育場所(太田川での分布)
広く分布しているが、上流部では少なく、デルタには見られない。
生活サイクル

ヤナギタデ
日本では、 ヤナギタデの辛みを昔から香辛料として利用し、ホンタデ、マタデなどと呼ばれた。発芽したばかりの芽は「芽たで」として刺し身のつまに、成葉はすりつぶして「たで酢」としてアユ料理などに賞用される。加計町の太田川沿いでは、種子を採取する目的でヤナギタデが昔から栽培されている。種子は九州方面に出荷され、「芽たで」の原料となる。ヨーロッパでも、ヤナギタデの種子をコショウの代用品として利用したので、学名のhydropiperは「水の胡椒」の意味である。また、薬用として消炎・解毒・利尿などに用いられる。
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