ハママツナ
 Suaeda maritima
分 布
国内では、本州(宮城県より南の太平洋岸)・四国・九州・琉球列島、国外では、台湾・朝鮮半島・中国大陸・マレーシア・オーストラリア、北半球の海岸に広く分布する。
分 類 被子植物 双子葉植物 離弁花類 アカザ科
生活形 1年草
生 態
河口部で海水が侵入する汽水域の泥土上に生育する。1日に1回は満潮時に海水に浸る環境に群生する。太田川放水路では、フクド、ハマサジなどと群落を形成している代表的な塩生植物。フクドやハマサジの生育するゾーンよりは水際に近い所に多く、不安定な立地に生育する。平成14年度の「河川水辺の国勢調査」では、前回よりハママツナの生育が減少しており、これは太田川放水路の植生が安定化の方向に向かっているためではないかと思われる。
形 態
1年草で、春に発芽して、秋に開花結実し、枯死する。茎は高さ15〜35 cm、下部から密に枝を分ける。葉は互生し、肉質で、線形、長さ2〜5 cm、幅2〜3 mm。海水の浸透圧調節のために細胞に塩分を含み、葉を噛むと塩辛い。秋には、葉が赤橙色に紅葉し、群生地では美しい。
 花は9〜11月、枝の上部の葉の付け根に1〜5個集まってつき、花被片(かひへん:花びらとがくの区別がない場合の名称)は5枚、果実を包んで星形になり、径約1.5 mm。種子は2型あり、種皮が堅くて黒色で光沢がある円形ものと、種皮が柔らかくて、巻いた子葉の見える不定形のものがある。これは汽水の塩分濃度の差によって発芽パターンを変えるための適応である。
類似種
ヒロハマツナはハママツナの変種にされたり、独立種にされたりして、両者の識別は困難な場合がある。ヒロハマツナの葉は幅1.5〜2.5 mmに達し、花被片は大きな星形になり、径2〜2.5 mmになる。種子は光沢がない。
 先年、太田川放水路でヒロハマツナが見つかったとの報告があり、検討したが、中間形で判断に迷った。生育地は太田川河川事務所によって保護されていたが、しだいにフクドに押されて消滅した。1年草の保護はなかなか難しい。なお、ヒロハマツナは環境省によって絶滅危惧U類に指定されている。
生育場所(太田川での分布)
ハマサジと同じである。
生活サイクル

ハママツナの紅葉
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