ネムノキ
 Albizia julibrissin
分 布
国内では、本州・四国・九州・琉球列島、国外では、台湾・朝鮮半島・中国大陸・東南アジアに広く分布する。
分 類 被子植物 双子葉植物 離弁花類 マメ科
生活形 落葉高木
生 態
河畔林に多く、やや湿った環境を好む。人家付近から山地にも広く分布するが、自然度の高い森林には見られない。
形 態
太田川流域では、大きなものは幹の直径40 cm、樹高20 mに達するが、ふつう10 mくらいが多い。幹は途中まで枝分かれせず、上部で水平に枝を広げる。熱帯系の樹木なので、芽の出るのが遅い。葉は互生し、長さ20〜30 cm、偶数羽状複葉、羽片は対生し、10〜25対、羽片には36〜58の小葉がつく。小葉は対生し、包丁形で、長さ10〜15 mm、幅2.5〜4 mm、夜間には相対する小葉が重なって閉じる。和名の「眠の木」はこれに由来する。中国名「合歓」は、2枚の小葉が重なり合う様を男女の睦み合う様にたとえたものという。
 花は6〜7月、枝の先に総状(ふさじょう)に10〜20個集まって、夕方に開く。マメ科であるが、花は蝶形花ではなく、がくは筒状で、長さ3 mm、先端が5裂する。花びらは淡紅色で、短い毛があり、長さ約8 mm、下から2/3までつながり、先端は等しい形に5裂する。雄しべは下部でつながり、たながった部分は花びらより少し長い。雄しべの花糸は長く、2.5〜3.5 cm、淡紅色で、25〜30本。雌しべは雄しべより少し短い。果実は豆さや形で、長さ10〜15 cm、偏平で、網目模様がある。落葉後も果実は長く樹上に残っている。種子は10〜15個、長い楕円形、長さ約6 mm。
類似種
ネムノキは葉と花の形態が独特で、他に似た植物はなく容易に識別できる。しかし、落葉後は分かりにくい。とくに、大きな樹木になると、森林中で識別に迷う場合が多い。樹皮は白っぽくて緻密で割れ目がなく、幹は下部で枝分かれしないなどの特徴がある。
生育場所(太田川での分布)
デルタを除いた全域に広く分布する。
生活サイクル
広島県比婆郡・双三郡・山県郡・佐伯郡など中国山地一帯では、ネムノキ の方言としてコウカ、コオカ、コウカイ、コッカ、コオカギなどと呼 ばれているが、これは中国名の合歓がなまったものである。一方、ネ ブ、ネブリ、ネブリンゴなどの方言もある。
ネムノキの材は軽くて割れにくいので、かつぎ棒、鎌の柄、杭などに用 いられた。
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