イヌノフグリ
 Veronica polita var. lilacina
分 布
国内では本州・四国・九州・琉球列島。国外では東アジアの温帯から暖帯に広く分布する。
分 類 被子植物 双子葉植物 合弁花類 ゴマノハグサ科
生活形 1年草 レッドデータブック 環境省指定:絶滅危惧II類、広島市指定:軽度懸念
生 態
農村地帯の石垣の間などに生育し、明治時代に入って来たオオイヌノフグリなどに押されて、全国的に減少しつつある。1年草のため、大形の多年草などが生育すると消滅するので、草刈など常に人為的な影響のある環境に生育している。
形 態
茎は下の方で枝を分けて地上をはい、長さ10〜25 cm。葉は茎の下部では対生、上部では互生し、卵円形で、長さ幅ともに5〜10 mm、縁に2〜5対の大きな鋸歯(きょし)があり、両面に粗い毛がある。
 花は葉の付け根ごとに1個咲き、径3〜4 mm、淡い紅色を帯びた白色で、紅紫色の筋がある。果実は長さ3 mm、幅約5 mmで中央がくびれている。この果実の形が犬のふぐり(コウ丸の古い名)に似ているので、この名がついた。
類似種
オオイヌノフグリは葉も花も大きく、花の径は7〜10 mm、鮮やかな青色。オオイヌノフグリは土がかく乱されるような畑に多く、イヌノフグリは石垣の間や乾燥した路傍に生育する。
 近年、広島県に侵入して来た帰化植物のフラサバソウは、きわめてイヌノフグリに似ているが、やや大きく、葉は肉質で厚く、縁に1〜2対の大きな鋸歯がある。がくの縁に長い毛がある。種子は半球形で大きく、中空である。イヌノフグリの種子は舟形である。
生育場所(太田川での分布)
平成14年度の「河川水辺の国勢調査」で確認された。
 種の保護のために場所は公表しないが、広島市街地で爆心地に近い。もしかすると、戦前から生育していたものと推察され、原爆投下時も種子の状態で川岸の石垣の奥深くに残っていたものではないかと思われる。きわめて貴重な存在で、目立たない草であるが、大切にしたい。
生活サイクル
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