オギ
 Miscanthus sacchariflorus
分 布
国内では北海道・本州・四国・九州、国外では朝鮮半島・中国大陸北部・シベリア(ウスリー地方)に分布する。
分 類 被子植物 単子葉植物 イネ科
生活形 多年草
生 態
大きな河川で、細かい砂の堆積する立地に群生する。広島県では比較的少ない植物である。三次盆地や西条盆地などでは、鉄道の土手や水田の縁などにも見られるが、これは工事用の砂を河川から運んだものに由来するのではなかろうか。
形 態
地下茎が長くはい、群生する。稈(かん:イネ科やカヤツリグサ科の茎をいう)は地下茎の節から1本ずつ出て、直立し、高さ1〜2.5 mにも達する。葉は長さ50〜80 cm、幅1〜3 cm、ススキよりも大きいが、質は柔らかく、ススキのように手を切るほど堅くない。葉の基部には表面に毛があり、新芽にも毛がある。
 花は9〜10月、穂は大きく、長さ25〜40 cm、銀白色でやや光沢があり、美しい。小穂は2個の花が対になり、長さ5〜6 mm、基部に絹のような感じの長い毛が集まってつき、長さ10〜15 mmに達する。芒(のぎ:花を覆う葉の変形したものの一部が長く突出したもの)はない。
類似種
ススキはよく似ており、しばしば混同されるが、なれると車窓からでも見分けがつく。ススキは地下茎を引かず、群生しなくて株立ちになる。穂の色はオギのような銀白色ではなく、白っぽい褐色。ススキの小穂には長い芒がある。
生育場所(太田川での分布)
可部から上流や三篠川にもあるが少ない。可部から下流、とくに安芸大橋付近に多い。かつてオギが群生していたと思われる所はゴルフ場などになったり、帰化植物のセイタカアワダチソウが侵入して、オギはしだいに少なくなりつつある。高瀬堰のために水流のゆるやかになった所では、川の中にオギが島状に生育していて、晩秋には美しく眺められる。
生活サイクル

オギの地下茎
オギの繁茂する場所は河原の安定帯で、人間にとって最も利用しやすい場所であるため、畑などに変えられてしまうことが多い。オギの群落を残すためには高水敷の利用について、事前に検討する必要がある。
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