ヨシ(アシ)
 Phragmites australis
分 布
北国内では、北海道・本州・四国・九州・琉球列島、国外では、北半球及び南半球の暖帯から亜寒帯まで広く分布する。
分 類 被子植物 単子葉植物 イネ科
生活形 多年草
生 態
河川の代表的な植物で、流れがゆるやかで泥の堆積するような環境に多いが、時には流れの早い場所にもある。海水の塩分に対する抵抗性があり、汽水域でも生育する。多年草であるが、冬には地上部は枯死する。ヨシ群落は鳥類、甲殻類、軟体動物などの生息環境としても重要である。
形 態
地下茎は横にはって群生する。稈(かん:イネ科やカヤツリグサ科の茎)は根茎から直立して、高さ1〜3 m、節は無毛。葉身は長さ20〜50 cm、幅2〜4 cm、ふつう途中から垂れ下がる。葉身の基部は耳状にふくらみ、葉身と葉鞘(ようしょう)の接点にある葉舌(ようぜつ)は発達せず、短い毛の列となる。葉鞘の縁に長い毛がある。
 花は8〜10月、穂は長さ40 cmに達し、小穂を密生する。小穂には小花が2〜4個あり、長さ10〜17 mm、基部に長い毛がある。雄しべは3本、葯(やく:花粉をいれる袋)は黄色。
類似種
ツルヨシを参照。
 セイタカヨシ(セイコノヨシ)は熱帯系で常緑、冬でも緑を保っている。太田川ではまだ見つかっていないが、福山市芦田川には多い。セイタカヨシの葉は直立し、途中で垂れない。また、葉身の基部に毛がない。小穂は短く、長さ5〜8 mm、などの点で区別できる。
生育場所(太田川での分布)
ほとんど全域に分布。最上流部の八幡高原にも多い。デルタの市街地を流れる部分でも、ところどころに群生がある。
生活サイクル
アシの方が古い名であるが、「悪し」につながると嫌われてヨシが定着し た。
ヨシの稈は有用で、「よしず」や「すだれ」、屋根葺き、編んで壁材などに 使用される。新芽は食用となる。稈を削ったものは、和楽器の笙(しょ う)や篳篥(ひちりき)の振動片に使用される。なお、クラリネットや オーボエの「リード」という振動片は、ヨシではなくダンチクの稈を 削ったものである。
ヨシの根は漢方薬で蘆根(ろこん)といい、健胃・利尿・消炎剤として用 いられる。
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