ツルヨシ
 Phragmites japonica
分 布
国内では、本州・四国・九州・琉球列島、国外では、 千島列島(国後島)・台湾・朝鮮半島・中国大陸・シベリア東部に分布する。
分 類 被子植物 単子葉植物 イネ科
生活形 多年草
生 態
山間部の河原で、にぎりこぶし大の石ころのあるような所に多く、細かい砂地には少ない。山間部でも、流れがゆるやかで泥のたまるような所はヨシが生育し、両者は住み分けている。
形 態
地上をはう枝は長さ3〜4 mに達し、枝の節には長い白い毛が密生し、節ごとにくの字形に屈曲する。稈(かん:イネ科やカヤツリグサ科の茎)は高さ1.5〜2.5 m、葉身は長さ10〜30 cm、幅2〜3 cm、縁はざらつく。葉鞘(ようしょう)は葉身より短く、その上部は赤紫色を帯びる。葉身と葉鞘の境界にある葉舌(ようぜつ)はほとんど目立たず、微細は毛の列となる。
  花は7〜8月、穂は長さ25〜35 cm、枝の基部から小穂を密生する。小穂は長さ8〜12 mm、3〜4個の小花からなる。小花の基部には長い白毛があり、小穂が開くと目立つ。
類似種
同属のヨシは上述したように、生態的に差異があるが、しばしば混生し、とくに大形のツルヨシと小形のヨシは区別が困難なことがある。ヨシは地上にはう枝がなく、節はすべて無毛、葉身の基部両側に小さな耳状の突起がある。ツルヨシは地上に長いはう枝があり、その節に毛がある。葉鞘の上部は赤紫色を帯びる。
生育場所(太田川での分布)
可部より上流と三篠川に多い。可部より下流には少ない。三段峡や滝山峡、中津谷など山間部にも広く分布する。三段峡に「葭が原(よしがはら)」という地名があるが、そこはツルヨシの群生地である。
生活サイクル

ツルヨシのはう枝
クロコノマチョウの食草の1つ。また、ヨシツトガ、ニカメイガモドキなどのガ類も食草とする。
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