ヤマトシジミ
 Corbicula japonica
分 布
北海道から九州の河口域や汽水域に分布する。
分 類 ハマグリ目 シジミ科
形 態
殻長約3 cm、殻幅2.5 cmで、殻はやや厚く、光沢がある。殻頂はやや前方に寄る。殻表の輪肋(りんろく)は狭く、不規則である。稚貝にはしばしば黄褐色の放射帯がみられる。内面は淡紫色。
類似種
他にシジミ類の主なものとしてマシジミおよびセタシジミがある。マシジミはヤマトシジミとほぼ同じ大きさであるが、淡水域に生息し、表面の光沢が弱く、黒斑を持つ。稚貝ではヤマトシジミにみられる表面の放射帯はみられない。殻頂部の膨らみもヤマトシジミに比べて弱く、内面は濃紫色である。マシジミは雌雄同体で卵胎生である。セタシジミは琵琶湖水系に生息するシジミで、殻が厚く、殻高が高い。表面もヤマトシジミに比べ輪肋が粗いことなどで区別できる。
生息場所
海水の影響を受ける河口から汽水域の水深1〜2 mの砂礫もしくは砂泥底に生息する。粒度の細かい粘土質(粒径0.004 mm以下)やシルト(粒径0.004〜0.062 mm)はあまり好まないようである。
生活サイクル
繁 殖
産卵期は春〜夏で、水温が20℃以上になると産卵盛期を迎える。
 受精は水中で行われ、受精後約1日でD型幼生になり、変態しながらほぼ10日間で底生生活に入る。
食 性
摂餌選択性はなく、水中の浮遊性藻類や懸濁物質を鰓(えら)でろ過し、摂食する。
食用として漁獲されるシジミ類の殆どは本種である。
中国地方では宍道湖で多く漁獲される。
うまみ成分であるコハク酸を多く含むため、食材として珍重され、夏が旬である。
ビタミンB12を多く含むため古くから黄疸によいとされる。
河口堰のような河川横断構造物の設置は、上流側を淡水化するため生息場所を著しく制限することになるので要注意。
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