イチモンジセセリ
 Parnara guttata
分 布
国内では、北海道、本州、四国、九州、南西諸島などの日本全国に広く分布する。国外では、ヒマラヤ、インド北部、ビルマ、インドシナ、中国大陸、台湾、朝鮮半島、マレー半島、スマトラなどに広く分布する。
分 類 チョウ目 セセリチョウ科
形 態
成虫:前翅長約15 o。翅表は茶色またはこげ茶色、裏面は黄褐色で、大小の白紋が点在する。一般に雌は雄より翅形が幅広く、白紋が大きい。後翅の白紋は一列に規則正しく並び、これが類似種との区別点になる。細長い体で、腹部は太い。
幼虫:終齢幼虫は体長30〜35 o。イモムシ状で、頭部は黒色、腹部は白色である。
類似種
オオチャバネセセリは後翅の白紋列がジクザグ状であることや、翅長や体長に対し触角が長いことなどで区別できる。ヒメイチモンジセセリはイチモンジセセリに比べ、小型であることや、後翅白紋列が小さく、境界が不明瞭であることなどで区別できる。イチモンジセセリは、他種に比べて翅長や体長に対し触角が短いことで区別できる。
生息場所
平地から山間地の、イネ科植物の優占した草原に多く生息する。河川敷、田畑の周辺、人家の周辺にも生息する。
生活サイクル
(京都での周年経過)
繁 殖
交尾・産卵:初夏から秋までの期間に繁殖が行われる。雌は草の葉の裏に卵を1個ずつ産付する。卵期は産卵時期によって異なるが、一般的には3〜7日程度と考えられる。
幼虫・蛹:数枚の草の葉を筒状に巻いた巣の中に潜んで生活する。蛹化は巣の中で行われ、蛹は白色のろう状物質で覆われている。幼虫で越冬する。
出現期:年3〜5回発生する。一般に春から夏にかけては個体数が少なく、夏から秋にかけて急増する。しばしば大群で一定方向に移動し、水たまりなどで集団吸水することもある。
食 性
成虫は主にアザミ類、キク類、ハギ類などで吸蜜し、幼虫はイネ科やカヤツリグサ科の植物を好んで採食する。
幼虫はイネの害虫として有名で、「イネツトムシ」と呼ばれて嫌われている。
幼虫はアマガエル、アシナガバチ類、クモ類に捕食される。成虫はカマキリ類、スズメやツバメなどの鳥類に捕食される。
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