スギタニルリシジミ
 Celastrina sugitanii
分 布
国内では、本州(関東・中国・近畿地方の一部を除く)、四国、九州に分布するが、いずれの産地も局地的な傾向がある。国外では、朝鮮半島、台湾に分布する。
分 類 チョウ目 シジミチョウ科
形 態
成虫:前翅長約16 o。翅表は暗い青藍色で、雌には外縁部に太い黒帯がある。裏面は暗褐色を帯びる。
幼虫:頭が小さく扁平で、ずんどうなワラジ形である。蜜を分泌する腺を持っており、アリ類がよく集まる。
蛹:だるま形で葉や樹皮などに糸をかけて体を固定した帯蛹である。色彩は赤褐色味が強く、特に背面や腹部では顕著である。背中線は黒色で明瞭、その両端に黒斑が配列する。翅部には翅脈に沿って黒斑がある。
類似種
スギタニルリシジミは、ルリシジミに比べ後翅の裏面基部の青色鱗(せいしょくりん)がよく発達して青味が強く、後翅の黒縁が太いことで区別できる。
生息場所
成虫は渓谷沿いの温暖林に多く生息する。幼虫はトチノキの周辺に多く生息する。
生活サイクル
繁 殖
産卵:出現期の終盤から行われ、トチノキの蕾(つぼみ)にはかなりの頻度で産付される。
蛹:越冬態は蛹で、1ヵ月あまりで卵から蛹までに成長する。蛹は食草の幹の裂け目、樹皮や地面にある落ち葉、石の下などで見つかる。
出現期:年1回発生する。暖地では3月下旬〜4月上旬、山地・寒冷地では4月下旬〜5月中旬に姿を見せる。
食 性
成虫は主にキプシ、コンロンソウ、モモ、トチノキなどの花を吸蜜する。幼虫はトチノキの蕾を好んで採食する。
雄は占有性を示すことがある。
地理的変異が著しく北海道や九州産のものは亜種として扱われる。
渓流に春の訪れを告げる小型で可憐なシジミチョウである。
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