カキようしょく



 太田川が流れこむ河口(かこう)のデルタ周辺海域(しゅうへんかいいき)では、古くから天然のカキがとれました。太田川が流れ込(なが こ)広島湾(ひろしまわん)は、たくさんの島や(みさき)に囲まれた海域(かいいき)であるため、波はおだやかで、カキの種苗(しゅびょう)やプランクトンが(わん)外に流出しにくく、また、太田川からはカキの(えさ)となる植物プランクトンの増殖(ぞうしょく)に必要な窒素(ちっそ)、リンなどの豊富(ほうふ)栄養塩(えいようえん)供給(きょうきゅう)されてカキの生育に(てき)した条件(じょうけん)(そな)えています。
 今から約320年前、延宝元年(えんぽうがんねん)(1673)小林五郎左右衛門(こばやしごろうざえもん)小西屋五郎八(こにしやごろうはち))が、この広島湾(ひろしまわん)でカキの養殖(ようしょく)を始めたと記録が残っています。その当時の養殖方法(ようしょくほうほう)は、ひび立て養殖法(ようしょくほう)という初歩的なものでした。

●ひび建て養殖法(ようしょくほう)
 竹や雑木(ぞうぼく)()がたに建て、かきを付着させ、成育を待って収穫(しゅうかく)する方法。収穫(しゅうかく)までそのまま養殖(ようしょく)する方法と、途中(とちゅう)でかきを落して、地()養殖(ようしょく)を行ない(しゅう)かくする方法があります。