地名には危険(きけん)を予知する知恵(ちえ)が刻(きざ)まれています。地名と周囲の自然状況(しぜんじょうきょう)を新たな目で見直してみてください。 ≪タキ地名≫ 　昔から「滝(たき)には住むな竜(りゅう)（土石流）が出る」と伝えられています。地震(じしん)、豪雨(ごうう)などの誘因(ゆういん)があれば土石流が発生する土地柄(とちがら)のことです。タキとは崖(がけ)を意味します。タキがタケ（竹）、タカ（高、鷹(たか)）になっているところもあります。 ≪ヒラ地名≫ 　昔はピラと発音されて「平」の字が当てられていました。「平野」などがそうで、平らなところと思いがちですがそうではありません。ある地点が崩壊(ほうかい)をおこす意味で使われます。 ≪スキ地名≫ 　杉(すぎ)の字を当てたところが多いです。剥（す）きからきていて鋤(すき)に通じています。助、菅（すが、すげ）、繁（しげ）のほか、スキが月、附(ふ)に変化した地名もあります。スカとスガは流水が岸に衝突(しょうとつ)して川崖(かわがけ)になるところのことです。 ≪ホキ地名≫ 　崖(がけ)を意味する古語で、川では流水の衝突(しょうとつ)する川崖(かわがけ)に多く名付けられていた、ホケ、ボケ、フキ、フケなどと転訛(てんか)している地名が多いです。ハケ、ハカなども同類です。 ≪カキ地名≫ 　柿(かき)の木地名が多く、昔、柿(かき)の大木があったとするのは民話、伝説です。カキは欠けで、地崩(くず)れするところのことです。カケ（掛(かかり)）、カゲ（影(かげ)）もその疑(うたが)いがあります。地形的に欠ける要素(ようそ)がなく柿(かき)の産地を表している場合は近年つけられた地名ということです。 ≪アワ地名≫ 　粟(あわ)や阿波(あわ)などは、古くはアバと発音されていました。崩壊地名(ほうかいちめい)で土地が暴（あば）ける所という意味です。阿波国(あわこく)（徳島(とくしま)）も土地がアベける災害(さいがい)の国と解(かい)することができます。