歴史や言い伝えには防災の知恵がたくさん含まれています。よく知られている八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の神話は土石流(迫り来る八頭の大蛇)に対して、砂防堰堤(柵)を設けて住民(姫様)を守る、今日の土石流対策のお手本と考えることもできるようです。
 言い伝えや民話だけでなく、古くから馴染まれている地名にも多くの防災の知恵が隠されています。
  中国地方の危険地名例
危険地名例 災害の種類
タキ類  滝、竹、高、鷹など  土石流
ヒラ類  平、比良など  山崩れ
スキ類  杉、助、管、月、附、繁など  地滑り、地崩れ、洪水
ホキ類  保木、歩危、甫起、法花、吹、萩、福など  崖崩れ、斜面崩壊
カキ類  柿、垣、掛、鍵など  山崩れ、地割れ
アワ類  粟、阿波、安歩など  崖崩れ
出典:「集中豪雨を追う」中国新聞社編 1989.8
  中国地方の土砂災害に関する地名(危険地名に加えて)
危険地名例 災害の種類
サル類  去(サレ、サル)、猿、佐礼など  地滑り
ツエ類  杖、津江、潰溜など  土石流、土砂崩れ
ウメ類  埋、梅など  土砂崩れ、斜面崩壊
ダキ類  砂子、砂古、佐古など  流出土砂の堆積他
出典:「川と災害、人と民話−地名と自然災害−」臼井洋輔 1992.9