【1】都市部と地方部が共に発展するために■■■

地球規模で見ると砂漠化、絶滅危惧種の増大、異常気象など人類のエネルギー消費の増大に伴い、人類が植物と動物の共存関係に多大な影響を与えている。
エネルギー消費の増大による地球温暖化の進展によって、ヒートアイランド現象や局地的な災害の多発など負の財産も同時に持ち合わせる状況に至っている。
このような社会情勢のなかで、今後は地球の自然環境と人類との共存関係に配慮しつつ商工業の発展のみならず農林水産業の再構築を含め都市部と地方部が共に発展していく方策を考えることが重要な課題になっている。

これまで、人類はエネルギー消費の拡大によって世界規模に渡り経済活動を発展させ、豊かな文明を享受してきた。一方、環境の悪化等負の財産も増大している。
今後のまちづくり、地域づくりにおいては、良好な環境の創出とともに都市と地方の交流、相互理解が中心テーマになるものと考えている。
都市計画法では、まちづくりの基本は農林水産業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びに適正な制限のもとに土地の合理的な利用を図ることとしている。

広島県内では、市町村合併が進展し、都市部と農山漁村が混在した数多くの市町が誕生している。なかでも、農林水産業は中山間地域での基幹産業であるとともに、CO2吸収源、水源確保、災害防止など森林や農地が持つ公益的機能を維持する上で重要な役割を果たしており、長期的にはその必要性が再認識される時期が到来するものと思っている。

このような状況の中で、都市の住民と農山漁村の住民がお互いの地域の良さを認識し、それぞれの地域で個性豊かな歴史や文化を培いながら、都市再生、地域再生を進めていくことが必要である。

都市再生、地域再生を図るための必要な取り組みとして、一点目は都市部、地方部の地域再生である。中心市街地の活性化を含め都市部の発展によって地方部に立地する農林水産業やレクリェーション機能への需要が創出され、地方部が都市部とともに発展可能となる。二点目は都市部と地方部の交流促進である。都市部、地方部における物産販売店舗の立地による交流促進や農林水産業の体験交流を通じて都市部と地方部の交流促進が図られる。三点目として民間活力の利用促進である。企業による農業経営、フィシングレジャー施設経営、NPOによる中心市街地空店舗等の紹介事業など民間活力の導入をさらに進める必要がある。四点目として財政支援の充実確保である。市町村合併等による新たな行政区域において、広域的な見地から公共施設・公益施設の適切な配置を考慮した上で、シビルミニマムを確保するために地方税の拡充等の財政支援措置を充実確保する必要がある。

今後とも,県内外の先進事例の情報交換や市町自らの政策形成など、国、県、市町が連携を取りながら都市と地方が共に栄える「町づくり、地域づくり」に取り組んで参りたい。

【広島県都市部長 河村康】
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