【2】新球場地下に建設する雨水貯留池■■■

広島市の下水道事業については、人口普及率が平成17年度末で92.4%となり、市街化区域内における汚水処理施設の整備は概ね完了したといえます。
今後は残る未整備地区の解消に努めるとともに、浸水対策、改築更新、合流式下水道の改善の各施策をより一層進めます。
さらに、持続可能な循環型社会の形成に寄与するため、下水汚泥の燃料化や、し尿・浄化槽汚泥等との集約処理についての検討を行うなど、下水道資源・施設の活用にも取り組んでいくことにしています。

その中で、近年の局所的な集中豪雨に伴う都市型水害から市民の安心・安全を確保する浸水対策が緊急な課題となっており、排水能力を増強するための管きょやポンプ場等の整備を重点的に進めているところです。
今回は、広島駅周辺を含む大州地区の浸水対策として、今年度から新球場地下に建設する雨水貯留池について紹介します。

この雨水貯留池は、JR広島駅から新球場建設予定地のヤード跡地に至る約50ヘクタールの地区の浸水の解消を図るため、新球場のグラウンドの直下に直径約100メートル、内空高さ3.85メートルの円筒形の大きな池を築造して、約1万5,000立方メートルの雨水を溜める施設です。

当該地区はJR広島駅を中心とする都市機能集積度の高い地区であり、降雨時にしばしば浸水が発生しているため、都市機能の高度化や安全性の確保のため浸水対策が急務となっています。
このため、国土交通省都市・地域整備局から「浸水被害緊急改善下水道事業」として補助採択を受け、平成18年度から平成20年度までの3か年で工事を行い、新球場のオープンと同時に供用開始する計画です。

建設する貯留池1万5,000立方メートルのうち1,000立方メートルについては、新球場のグラウンドの散水等に利用できるよう雨水再利用施設として整備する計画です。この雨水再利用施設についても「新世代下水道支援事業制度」として国土交通省の補助採択を受けて実施します。

工事は、この貯留池のほか、浸水エリア(荒神陸橋付近)から貯留池までの間には1.5〜1.7メートル、延長0.7キロメートルの管きょ整備も同時に行います。この貯留池と管きょが完成すると、排水能力が現況の時間降雨量20ミリメートルに対し、約2.5倍の時間降雨量53ミリメートルまでアップします。なお、貯留池に溜めた雨水は、降雨終了後に既設の下水管へ送水し、大州下水処理場できれいに処理した後、川へ放流します。

また、今回、新球場のグラウンド地下に貯留池を建設すると同時に、新球場内に、広島市の下水道を市民に広く知っていただくための下水道PR室の併設を計画しています。

【広島市下水道局長 今田幹男】
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