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中国地方の活動報告1

団体名:社団法人高知県自治研究センター
事業名:コミュニティビジネスが生む地域の支え合い仕組みづくり事業
活動地域:高知県黒潮町

活動報告
  「産業」と「福祉」という2つの概念は、相容れないものという声を聞きますし、用語一つとっても担当省庁の縦割りの壁を感じます。しかし、私たちは産業あるいは経済と福祉は、元々どちらも人の幸せを目指す表裏一体の概念と考え、両者が合体した「産業福祉」を提唱しています。また、高齢化社会では、高齢者は一方的に支えられるだけでなく、時に支える側に回ることのできる仕組みも必要と考えています。

  私たちが実施した「庭先集荷システム」は、高知県仁淀川町でアンケート調査を行った際、地域の人から「集荷に来てもらえれば、まだまだ農作物を作ることができる」という話を聞き、それならば、集荷システムを構築すれば、人々も農業を続けることができ、地域の活性化や耕作放棄地発生の予防につながるのではないか、と考えたことからスタートしました。

  集荷システム構築の試みは、H19に高知県自治研究センターの予算で、高知県黒潮町の一部地域で、実証的に週2回の集荷を行うことから着手し、H20,H21と「新たな公」モデル事業により継続しました。野菜の集荷体制・販路を確立したところ、野菜の栽培や出荷の段取りを行うことや近所の人々と会話することにより、高齢者は活性化し、コミュニティも生まれました。集荷日は販売所の売り上げがはっきりと伸びており、産業振興の効果があります。また、自分たちが必要とされ、作った野菜が喜ばれることを実感することは、幸せにつながります。さらに、生き甲斐を持つことで健康も維持され、高齢者医療費も抑制できます。このように、福祉の効果もあるわけです。   以上から、庭先集荷の試みは、産業福祉の概念を実現し、新しい公共サービスを示唆するものだと考えています。まだ万全のものとは言えないですが、是非ヒントにしてください。

(補足情報:中国地方整備局)
「庭先集荷事業」の発展として、庭先集荷に買い物支援・高齢者見守りを付加した「宅配サービス事業」社会実験がH22に実施されています。実験結果詳細は、下記URLでご覧いただけます。
「黒潮町の『新たな公』による取組効果分析作業 報告書」
(社団法人高知県自治研究センターHP)
http://www.kochi-jichiken.jp/cat25/

(補足情報その2:中国地方整備局)
「庭先集荷事業」の福祉効果を明らかにする研究について、取材しました。
http://www.cgr.mlit.go.jp/chiki/community/jitiken_state.html

社団法人高知県自治研究センター:発表者

発表者
社団法人高知県自治研究センター
畦地和也氏
発表資料

活動報告
質疑応答
質疑
「庭先集荷システム」ではどのくらいの方が野菜を出荷しているのですか?
応答
研究事業段階での参加者は60名、うち20名くらいの方がコンスタントに出荷しています。野菜の出荷により月収2万円くらいが得られ、年金額を考えるとたいしたものです。金額以上に、自分が出荷したものが買ってもらえることは、その人の内なるエネルギーにつながり、大きな意味があると考えます。
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国土交通省中国地方整備局 建政部 計画・建設産業課