■5■ 建設業を行うにあたっての留意事項[4] 【建設業法の遵守】 |
[4]適正な技術者の配置
建設工事を請け負った場合は、その請け負った建設工事の適正な施工を確保するため、当該工事について一定の資格又は施工実務の経験を持っている方を技術者として配置しなければなりません。
実際に現場に配置する技術者については、請け負った建設工事の規模等により「主任技術者」と「監理技術者」に大別されます。また、工事によっては配置される技術者にその現場への専任が求められます。
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で説明した「専任技術者」は、契約の適正な締結、履行を確保するために、これらの行為が行われる営業所への配置を義務付けているものですので、現場へ配置される「主任技術者」、「監理技術者」とは役割が異なります。注意して下さい。 |
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専任技術者・・・・営業所等への配置 |
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主任技術者又は監理技術者・・・・工事現場への配置 |
建設業者は、建設工事を請け負った場合は、その工事の請負金額、工事規模の大小、元請・下請の別に 関わらず、請け負った建設工事に係る施工の技術上の管理をつかさどるものとして 必ず主任技術者を配置しなければなりません。
主任技術者は、技術上の管理をつかさどり、適正な施工を確保することが主な役割とされています。ですので、誰でもなれるというものではなく、一定の国家資格や施工実務の経験を持っていることが要件として求められます。具体的には、一般建設業の許可における専任技術者の要件と同じ(  参照)で、 建設業法第7条第2号イ、ロ又はハに該当していることが必要です。
特定建設業者のうち、 発注者から直接建設工事を請け負った場合で、当該建設工事について 3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)以上の工事を下請施工させる場合は、主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければなりません。
主任技術者としての要件が一般建設業の許可基準を満たす技術者だったのに対して、監理技術者については、特定建設業の許可基準を満たす技術者として、 建設業法第15条第2号イ、ロ又はハに該当していることが要件とされています。ただし、請け負った工事が指定建設業(  参照)の場合には、特定建設業の許可基準と同様、1級の国家資格者や大臣特別認定者に限られます。
前述のとおり、監理技術者を配置しなければならないケースは、元請として受注し、かつ、受注した工事に係る下請発注総額が一定額以上であるか否かによって判断されます。ですので、発注者から直接建設工事を請け負おうとする特定建設業者は、 受注前に概ねの工事外注計画を立案して、下請契約の予定額を的確に把握し、監理技術者を置くべきか否かの判断を行っておく必要があります。
主任技術者・監理技術者の職務 |
(建設業法第26条の3) |
主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成や工程管理、品質管理、その他の技術上の管理、現場施工従事者の技術上の指導監督の職務などを誠実に行わなければなりません。
主任技術者・監理技術者の雇用関係 |
(監理技術者制度運用マニュアル) |
主任技術者及び監理技術者は、 所属する建設業者と「直接的かつ恒常的な雇用関係」にあることが必要です。ですので、「在籍出向社員」や「派遣社員」を主任技術者や監理技術者として現場配置することはできません。
また、国、地方公共団体、法人税法別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く。)、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法第3条第1項に規定する東京湾横断道路建設事業者、帝都高速度交通営団及び関西国際空港(株)が発注する建設工事を発注者から直接請け負った場合には、当該現場へ配置する専任の監理技術者等は所属建設業者との間に3ヶ月以上の雇用関係が必要となりますので、注意して下さい。(→詳細は 「監理技術者制度運用マニュアル」(PDF:59KB)をご覧下さい。)
公共性のある工作物に関する重要な工事については、現場へ配置される主任技術者又は監理技術者は、その工事現場ごとに専任しなければなりません。
現場専任が義務付けられる「公共性のある工作物に関する重要な工事」は、次の各号に掲げる工事で、工事1件の請負代金の額が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上のものです。これらの工事に配置される技術者(監理技術者、主任技術者)は、他の現場を掛け持ちしたりしてはいけません。
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国又は地方公共団体が注文者である工作物に関する工事 |
A |
鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道 |
B |
電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設をいう。)又はガス事業用施設(ガス事業の用に供するガスの製造又は供給のための施設をいう。) |
C |
学校、児童福祉法第7条に規定する児童福祉施設、集会場、図書館、美術館、博物館、陳列館、教会、寺院、神社、工場、ドック、倉庫、病院、市場、百貨店、事務所、興行場、ダンスホール、旅館業法第2条に規定するホテル、旅館若しくは下宿、共同住宅、寄宿舎、公衆浴場、鉄塔、火葬場、と畜場、ごみ若しくは汚物の処理場、熱供給事業法第2条第4項に規定する熱供給施設、石油パイプライン事業法第5条第2項第2号に規定する事業用施設又は電気通信事業法第12条第1項に規定する第1種電気通信事業者がその事業の用に供する施設に関する工事 |
「監理技術者資格者証」の交付者からの選任 |
(建設業法第26条第4項) |
前述の「現場への専任」が求められる工事現場のうち、発注者が次のいずれかの場合には、現場へ配置される監理技術者は「監理技術者資格者証」の交付を受けている者で、かつ、国土交通大臣の登録を受けた講習(監理技術者講習)を受講した者でなければなりません。
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国 |
○ |
地方公共団体 |
○ |
法人税法別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く。) |
○ |
東京湾横断道路の建設に関する特別措置法第3条第1項に規定する東京湾横断道路建設事業者 |
○ |
帝都高速度交通営団 |
○ |
関西国際空港(株) |
建設業法では、建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として「主任技術者」と「監理技術者」について、その要件や配置すべき現場などについて規定していますが、これらとは別に、現場へ配置される者として「現場代理人」があります。
この現場代理人は、『請負契約の的確な履行を確保する』ことや『工事現場の取締り』、『工事の施工や契約関係事務に関する一切の事項を処理する』など、いわゆる請負人の代理人的な役割、職務を担っていることが一般的だと思われます。ですので、主任技術者や監理技術者とはその役割等が異なりますが、主任技術者(又は監理技術者)が現場代理人を兼ねていても工事の施工上支障はありませんので、同一現場に限り、主任技術者(又は監理技術者)が現場代理人を兼務することも可能です。
「監理技術者制度運用マニュアル」 |
H16.3.1付け 国土交通省 総合政策局 建設業課長通知 |
建設業法では、工事現場に配置すべき技術者として「主任技術者」と「監理技術者」について前述のとおり規定していますが、これらの技術者の適正な設置に係る運用について、別途 「監理技術者制度運用マニュアル」PDF:59KB)として策定し、各都道府県や建設業団体等に通知しています。 |